2022 Fiscal Year Research-status Report
消化管における酸素飽和度に着目したがん不均一性の解明
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20K16319
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Research Institution | Shizuoka Cancer Center Research Institute |
Principal Investigator |
南出 竜典 静岡県立静岡がんセンター(研究所), その他部局等, 研究員 (70809821)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2024-03-31
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Keywords | 酸素飽和度 / がん不均一性 / 網羅的遺伝子発現解析 / 免疫組織化学染色 |
Outline of Annual Research Achievements |
酸素飽和度イメージングを用いて採取した臨床検体において、遺伝子発現解析・タンパク発現解析などの多角的アプローチを統合し、がん酸素飽和度不均一性の解明を引き続き試みている。 本年度は、臨床検体におけるCD31, GLUT1などの免疫組織化学染色を行い、イメージングで得られた酸素飽和度との関連性を検討した。CD-31は、代表的な微小血管内皮細胞マーカーである。また、GLUT1はグルコースの細胞内への取り込みに関与しており、その転写は低酸素条件下でHIF-1カスケードにより誘導されることが知られている。染色結果の定量的な解析を行った結果、高酸素腫瘍・非腫瘍よりも低酸素腫瘍の方が1視野当たりのCD31陽性領域が有意に広い結果であった(低酸素腫瘍 16.8% vs. 高酸素腫瘍 9.4% vs. 非腫瘍 4.1%)。また、GLUT1の染色結果を染色強度・染色面積を基にH-scoreを算出して比較した結果、高酸素腫瘍・非腫瘍よりも低酸素腫瘍の方で有意に高い結果であった(低酸素腫瘍 19.9 vs. 高酸素腫瘍 3.7 vs. 非腫瘍 0.0)。これらの結果は、酸素飽和度イメージングと低酸素腫瘍で発現亢進している生物学的プロセスとの間に相関関係があることを示唆しているものと考えられた。 前年度までに得られた内視鏡画像解析および網羅的遺伝子発現解析の結果も含め、酸素飽和度イメージングががん不均一性の解明につながる強力なツールであることを示すデータが集積したと考えている。最終的な結果を総括した上で、現在学術論文を執筆している。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
研究目的を達成する上である程度のデータが集積したと考えており、結果の総括を行っている。
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Strategy for Future Research Activity |
今年度中に学術論文を作成し、しかるべき科学雑誌に投稿する予定である。
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Causes of Carryover |
計画において必要な研究解析を行ったが、費用は予定よりも少なく済んだため。
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