2021 Fiscal Year Research-status Report
がん微小環境におけるVEGFR3非定型的活性化機構の解明
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20K16326
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Research Institution | University of Toyama |
Principal Investigator |
周 越 富山大学, 学術研究部薬学・和漢系, 助教 (10733339)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | VEGFR3 / リン酸化 / 卵巣がん |
Outline of Annual Research Achievements |
本年度はがん細胞におけるVEGFR3の非定型的活性化の意義について検討した。 卵巣がんにおいて、VEGFR3は抗がん剤への抵抗性に関わることが報告されている。そこで、卵巣がん細胞において、VEGFR3の非定型的活性化と抗がん剤抵抗性の関係について検討した。過剰発現系において、12-O-テトラデカノイルホルボール13-アセタート(TPA)の刺激でVEGFR3の非定型的活性化が誘導されていた。卵巣がん細胞OVCAR-8は内在的にVEGFR3を発現している。この細胞に対してTPA刺激を行ったところ、非定型的活性化の指標となるリン酸化が誘導された。また、このリン酸化は責任キナーゼに対する阻害剤やsiRNAで抑制された。このことから、OVCAR-8細胞においても過剰発現系と同様にVEGFR3が非定型的に活性化することがわかった。次に、抗がん剤抵抗性におけるVEGFR3の非定型的活性化の寄与を検討するために、目的のリン酸化部位に点変異を加え、非リン酸化模倣体とリン酸化模倣体として機能するVEGFR3発現プラスミドDNAを作製した。作製したプラスミドDNAをOVCAR-8細胞に安定的に強制発現させた細胞株を樹立した。樹立した細胞株におけるVEGFR3の局在を検討したところ、親株と同様に細胞膜に発現することがわかった。また、それぞれの細胞株間での細胞増殖能の違いを検討したが、変化は認められなかった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
非リン酸化模倣体とリン酸化模倣体として機能するVEGFR3発現プラスミドDNAの作製および細胞の樹立に時間を要した。細胞の樹立において、過剰発現がうまくいかず、ベクターの変更を余儀なくされた。新しく作製したプラスミドDNAを用いたところ、目的の細胞株の樹立に成功した。
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Strategy for Future Research Activity |
来年度は、樹立できた細胞株を用いてVEGFR3の非定型的活性化と抗がん剤抵抗性の関係を明らかにする。また、血管・リンパ管内皮細胞を用いて同定したリン酸化部位の機能を明らかにする。
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Causes of Carryover |
細胞株の樹立に時間が要したため、今年度中に行う予定だった実験が行えなかった。また、コロナ禍により、必要な物品を入手できず、旅費も使用しなかった。以上のことから、次年度使用額が生じた。次年度使用額は実験試薬の購入費に充てる予定である。
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