2022 Fiscal Year Research-status Report
がん微小環境におけるVEGFR3非定型的活性化機構の解明
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20K16326
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Research Institution | University of Toyama |
Principal Investigator |
周 越 富山大学, 学術研究部薬学・和漢系, 助教 (10733339)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2024-03-31
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Keywords | VEGFR3 / リン酸化 |
Outline of Annual Research Achievements |
本年度は受容体型チロシンキナーゼVEGFR3の活性への非定型的リン酸化への機能とがん細胞における非定型的活性型VEGFR3の機能について検討した。 リガンドの刺激によって、受容体型チロシンキナーゼは活性化する。VEGFR3のリガンドとして、VEGF-CとVEGF-Dが知られている。昨年度樹立した細胞株に対して、VEGF-CとVEGF-Dを様々な濃度および時間で刺激し、非定型的リン酸化を検討したが、その誘導は起きていなかった。このことから、VEGFR3の活性化は、非定型的リン酸化を抑制することが示唆された。今後はVEGFR3の活性を評価するための方法を確立し、チロシンキナーゼ活性による非定型的リン酸化の抑制機構を明らかにする予定である。 がん細胞における非定型的活性型VEGFR3の機能について、昨年度樹立したVEGFR3非リン酸化模倣体とリン酸化模倣体を安定発現する乳がん細胞株用いて検討した。通常の培養では、両者の間で増殖能に変化はなかった。抗がん剤を作用させたところ、リン酸化模倣体のほうが非リン酸化模倣体と比べて生存率が上がった。このことから、非定型的活性型VEGFR3は抗がん剤への耐性化に関わることが示唆された。卵巣がん細胞において抗がん剤への耐性化におけるVEGFR3の寄与について既に報告はあるが、非定型的リン酸化の関与についてはわかっていない。そのため、今後は抗がん剤耐性に対する非定型的活性型VEGFR3の機能を解明する予定である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
4: Progress in research has been delayed.
Reason
VEGFR3の活性を評価するための方法が確立されていなかったため、まずは活性評価法の確立に取り組んだ。これに時間を要したため、研究が遅れた。また、非定型的リン酸化部位に対する抗リン酸化抗体の作製を受託したが、抗体作製は困難を極め、作製に半年以上要した。3月末にようやく作製できたため、今後はこの抗体を用いて実験を行う予定である。
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Strategy for Future Research Activity |
作製したリン酸化抗体を用いてVEGFR3の非定型的リン酸化の制御機構およびチロシンキナーゼ活性への寄与を明らかにする。また抗がん剤耐性に対する非定型的活性型VEGFR3の機能を明らかする。さらに血管・リンパ管内皮細胞における非定型的活性型VEGFR3の機能を明らかにする。
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Causes of Carryover |
評価法の確立と抗体作製に時間が要したため、今年度中に行う予定だった実験が行えなかった。また、社会情勢により、必要な物品を入手できず、旅費も使用しなかった。以上のことから、次年度使用額が生じた。次年度使用額は実験試薬の購入費と旅費に充てる予定である。
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Research Products
(2 results)