2021 Fiscal Year Research-status Report
発生母地あるいはその周辺組織の硬度がデスモイド型線維腫症の病態に与える影響の検証
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20K16328
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Research Institution | Nagoya University |
Principal Investigator |
酒井 智久 名古屋大学, 医学部附属病院, 病院助教 (40821971)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | 骨軟部腫瘍 / デスモイド型線維腫症 / 線維芽細胞 / メカノレセプター / 予後予測因子 |
Outline of Annual Research Achievements |
機械的刺激伝達シグナルおよび組織硬度がデスモイド型線維腫症の病態において果たす役割について検証することを目的としている。デスモイド型線維腫症培養細胞を用いて、基質硬度の上昇に伴い細胞の増殖・筋線維芽細胞に強く発現するα-SMAタンパク・デスモイド型線維腫症で発現と核内集積が既知であるβ-cateninタンパク発現が上昇することを確認した。また、過去に間葉系細胞での発現が報告されている機械的シグナル受容体Transient Receptor Potential Vanilloid 4(Trpv4)のデスモイド型線維腫症培養細胞における発現を免疫蛍光細胞染色で確認した。実験に用いる初代培養細胞が枯渇したため新規に3例から腫瘍組織を採取し初代培養細胞を培養した。 臨床側からのデスモイド型線維腫症に対する病態の理解を深めるアプローチとして、保存的治療における臨床成績および画像上の増大・治療介入に至るリスクの検討を行った。当院において半年以上の経過観察が可能であった168病変を対象として検討を行い、168病変中44%に当たる74病変で治療介入が行われていた。機械的刺激や基質硬度に関連すると考え発生部位による増大や治療介入リスクの差異を検討し、頸部発生例では画像上の増大とは有意な関連を示さなかったが、他の部位と比較し有意に治療介入に至るリスクが高かった。他の治療介入リスクとしてはCTNNB1 S45F変異を持つ例が単変量・多変量解析ともに治療介入リスクであった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
4: Progress in research has been delayed.
Reason
昨年度の課題であった初代培養細胞は使用可能となったが、基質硬度別の6-well plateが生産中止となっており別のデバイスや自作を検討したが再現が困難であったため研究の推進が困難であった。過日別のメーカーから同商品が再販されたため再び入手可能となった。
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Strategy for Future Research Activity |
Trpv4以外のメカノレセプターであるIntegrin family (VLA-1, 3, 5, 6, αvβ1など)の発現確認を行う。基質硬度の変化がデスモイド線維腫症細胞内のTrpv4を介したCaイオン流入に対する影響についてCa蛍光プローブを用いて調べる。またIntegrinを介したFAK/MAPKシグナルに与える影響について免疫細胞染色、western blotによるタンパク発現解析, realtime-PCRによるmRNA発現解析等により調べる。また、基礎研究で有意な成果が得られない場合を考慮し、関連研究としてデスモイド線維腫症に関与する臨床因子を調査、統計解析を行い予後予測因子の同定を試みる。
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Causes of Carryover |
初代培養細胞が枯渇していたこと、実験に必須である基質硬度別の6-well plateが入手不可能な時期があったことから研究が遅れている。また、各種学会が中止またはオンライン開催となったために交通費・宿泊費が当初より大幅に少なくなっている。繰越年度は6-well plateの購入、実験用試薬及び抗体、11月にバンクーバーで開催されるConnective Tissue Oncology Society Annual Meetingへの参加費及び出張旅費などへ使用する見込みである。
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