2021 Fiscal Year Annual Research Report
レンバチニブの肝癌免疫微小環境への影響についての検討
Project/Area Number |
20K16332
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Research Institution | Hiroshima University |
Principal Investigator |
大野 敦司 広島大学, 医系科学研究科(医), 助教 (80774645)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2022-03-31
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Keywords | 肝細胞癌 / レンバチニブ / 腫瘍免疫 |
Outline of Annual Research Achievements |
進行肝細胞がん(HCC)の治療において中心的な役割を持つレンバチニブ(LEN)は、がん免疫微小環境をhotに誘導すると考えられているが、機序については不明な点が多い。そこでLENがHCCの免疫微小環境にどのような影響をもたらすかを明らかにするため、本研究を計画した。肝癌同所移植マウスモデルに対し、LEN+抗PD-L1抗体、LEN単独、抗PD-L1抗体単独、またはVehicleの投与を行った。FACSで腫瘍浸潤リンパ球の解析を行ったところ、CD8陽性T細胞(CTL)のポピュレーションは併用群で最も高い結果であった。一方で、既報のマウスモデルでの検討では、腫瘍随伴マクロファージ(TAM)の抑制が報告されているが、本研究ではTAMの減少は認められなかった。既報との相違について、マウスや細胞株の違い、移植部位の違い等の要因が考えられた。そこで、まずは、ヒトの腫瘍内で実際に起きている現象を明らかにする必要があると考え、ヒト腫瘍生検検体において、LEN投与前後の免疫関連遺伝子発現プロファイルを解析したところ、ヒト検体においても、IFNγなど、免疫活性化マーカーの発現は亢進していたものの、M2マクロファージのマーカーであるCD163はむしろ有意に増加しており、免疫活性化の機序としてTAM減少以外の機序の存在が考えられた。また、ヒト血清を用いた検討ではIL8、Ang2等が治療開始後減少していることが分かった。IL8、Ang2-Tie2 axisともに腫瘍免疫を抑制側に誘導する重要な因子として知られている。LENの直接の標的とはされていないが、何らかの機序を介してIL8およびAng2-Tie2 axisが下方制御されることが、LENの免疫制御機構において重要な役割を持つことが示唆された。
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Research Products
(1 results)