2021 Fiscal Year Research-status Report
乳癌におけるITAFsの生物学的特性の解明とITAFs標的治療開発への挑戦的研究
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20K16351
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
中川 紗紀 東北大学, 医学系研究科, 大学院非常勤講師 (50781580)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2024-03-31
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Keywords | 乳癌 / ITAFs / キャップ非依存性翻訳 |
Outline of Annual Research Achievements |
令和3年度の研究実績として、学内および協力施設における倫理審査を申請するとともに、研究に用いるヒト乳癌組織検体(東北大学病院と関連病院、協力施設において診断・治療を行った症例を対象)の症例抽出と臨床病理学的データの収集を進めている。なお、東北大学病院において診断・治療を行なった乳癌患者の組織検体に関しては、検査・手術の際に研究利用に対する包括同意書への署名により標本提供の同意を得ている。 令和3年度は、当初第2段階として計画していた実験を先行させることとし、乳癌患者から摘出された手術検体のホルマリン固定後パラフィン包埋(FFPE)検体を用いて、免疫組織化学的にITAFsと他の腫瘍増殖因子(血管新生因子、腫瘍免疫因子、エストロゲン受容体、プロゲステロン受容体、HER2タンパク、Ki67等)の発現状況を評価し、予後との関連を検討することとした。また手術検体の使用予定症例200例には術前化学療法を施行した100例程度を含むが、これらの症例では化学療法前に採取した針生検のFFPE検体における上記因子の発現状況と比較し、薬物治療効果と各因子の相関性も検討していく予定であるが、予定の症例数は今後の検討の中で若干変更する可能性がある。 また前述の免疫組織化学的に評価を行なった因子については、対応する50例の手術標本の凍結検体を用いて、定量的PCRやWestern-blottingにより遺伝子発現やタンパク質量の測定を今後行なっていく予定であり、標本を各施設より収集している。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
4: Progress in research has been delayed.
Reason
新型コロナウイルスの蔓延により日常診療に専念せざるを得ず、研究にかける十分な時間を確保することができなかったため、計画よりも進捗が遅れている。また令和3年7月に出産したことに伴い、研究業務については令和4年度末まで中断する予定である。
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Strategy for Future Research Activity |
令和4年度末まで、研究業務は育児休暇を取得予定である。令和5年以降に研究を再開し、第一段階の実験を遂行する予定である。まずヒト乳癌細胞株を用いてのITAFsのタンパク質や遺伝子の発現状況を評価し、ITAFs が乳癌細胞に及ぼす影響や他因子との関連をin vitroにて解明する。次にMDA-MB-231細胞株にITAFs遺伝子(PTBP1,STRBP)をpTRIPZ vectorを用いて遺伝子導入し増殖能、浸潤能を検討する。ノックダウンマウスを用いた実験を令和3年度に遂行することが困難な状況が想定されるため、第二段階で予定しているヒト乳癌組織検体を用いた研究を先行する。具体的にはヒト乳癌組織おけるITAFsの発現と、他因子(血管新生、腫瘍免疫、ER、PgR、HER2等)・薬物治療効果・予後との関連を検討する。
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Causes of Carryover |
令和3年度の残額については、研究進行状況の遅れに伴うものであり、試薬や物品、消耗品の購入費に残額が生じている。令和4年度以降は前述の研究資材を購入するための費用が必要となる。
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