2020 Fiscal Year Research-status Report
細胞骨格を介した細胞運動極性の制御による骨軟部肉腫の転移抑制
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20K16353
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Research Institution | University of Toyama |
Principal Investigator |
渡邉 健太 富山大学, 附属病院, 医員 (90865255)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | 肺転移 / 肉腫 / 細胞運動 / 細胞極性 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は肉腫細胞の転移のメカニズムを微小管と細胞運動の極性との関連に注目して検討し、微小管を介した細胞運動の極性を制御することで新たな転移制御法の開発につなげ、肉腫制圧に対する新たな治療法確立への基盤とすることを目的としている。 そこで異なる転移能を持つ軟部肉腫細胞株、骨肉腫細胞株を用いて細胞運動の極性を評価するために2次元培養と3次元培養の準備を開始した。骨肉腫細胞株であるLM8、Dunn、軟部肉腫細胞株であるRCTにて3次元培養まで安定して行うことができた。実験系が安定していたLM8を用いて2次元培養し、微小管阻害薬を投与し、αチューブリンを免疫染色し微小管の長さを計測すると有意に微小管の長さは減少することを確認し、スクラッチアッセイにて細胞運動能の低下が確認できた。またLM8細胞を3次元培養下に微小管阻害薬を投与すると細胞のコロニーの広がりが少なくなり、3次元環境下でも細胞の運動能が低下していることが確認できた。細胞運動極性の評価を行うために2次元、3次元環境下で細胞免疫染色を試みた。2次元環境下では予備実験通り染色可能であり、微小管形成中心を免疫染色することで細胞運動の指向性の低下が確認できた。しかし、3次元培養した細胞の免疫染色が安定せず、条件検討を行っている状態であり、細胞の運動極性の変化まではまだ十分検討ができていない状態である。 細胞運動の低下はこれまでの予備実験でも同様の結果が得られているため、今後は細胞運動の極性を評価できるようまずは安定した実験系の確立を行っているところである。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
コロナ感染の影響にて実験が十分にできなかった期間があり、その時期は情報処理環境の整備などを行っていたが実験を進めることができなかった。また、3次元培養、培養後の細胞免疫染色の条件検討に難航しており、当初の計画通りに進めることができなかった。動物実験系も準備を進めていたがin vitro の実験が遅れていることで実施することができなかった。
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Strategy for Future Research Activity |
細胞運動極性を細胞免疫染色を行うことで確認する計画であるため、まずは実験の条件検討を早急におこない、安定した実験系の確立を行う。肺転移が安定して起きることの確認を継続し、In vivo の実験も並行して行えるように進めていく。
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Causes of Carryover |
本年度予定した実験を全て完了することはできず、できなかった実験を次年度に持ち越すことになった。そのため必要物品の購入も実験進捗状況に応じて、計画より少なくなってしまった。次年度は、動物実験関係費用、細胞免疫染色関係費用を中心に使用する予定である。
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