2022 Fiscal Year Annual Research Report
白血病幹細胞の不均一性とゆらぎの解析と白血病治療への応用
Project/Area Number |
20K16356
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
新開 泰宏 大阪大学, 大学院医学系研究科, 招へい教員 (70791614)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | 白血病幹細胞 / ESAM / 不均一性 |
Outline of Annual Research Achievements |
我々はヒト骨髄性白血病臨床検体および白血病細胞株において、同一クローン内でもESAM発現に不均一性があり、白血病幹細胞が増殖に伴い不均一な白血病幹細胞集団を再構成する結果を得た。さらに白血病幹細胞において多様な遺伝子が不均一な発現様式を示すが、それらの中でTGFβシグナル経路が白血病幹細胞の変動と不均一性の誘導において、中心的な役割を果たしていることを明らかにしていた。また我々はヒトAMLにおけるTGFβシグナルの阻害は、白血病幹細胞が有する不均一性と変動性を阻害し、白血病の細胞死を誘導するという重要な知見を得ることができた。 これまでの研究で我々は、共免疫沈降および蛋白質量分析によるESAMの下流分子の同定を目指した。実際にいくつかの蛋白を同定することができたが、実際の機能的意義は不明であった。ESAMは、免疫グロブリンスーパーファミリーの中のJunctional Adhesion Moleculesファミリーに属し、それらに共通した性質としてトランスにホモフィリックな結合をする。つまり、ESAMの生理的なリガンドの一つはESAM自身であり、実験的にも確認されているが、ESAMを発現していない間質細胞とESAM陽性白血病細胞の相互作用が確認されることから、インテグリンなどの他の接着分子がリガンドとして機能している可能性が高い。血液細胞株あるいは臍帯血細胞のESAMと免疫グロブリンの融合蛋白に結合する間質細胞のスクリーニングを行い、その間質細胞のcDNAライブラリからESAMのリガンド分子を特定することを目指した。また、プロテインアレイ法および近位制御部法を用いて、白血病細胞株においてESAMに結合する蛋白およびESAMに関連したシグナル伝達経路の特定を目指した。
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