2020 Fiscal Year Research-status Report
2光子励起顕微鏡を用いた膵癌細胞の血行性肝転移時の肝内動態と転移巣形成の研究
Project/Area Number |
20K16359
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Research Institution | Kagawa University |
Principal Investigator |
成澤 裕子 (中野) 香川大学, 医学部, 助教 (00790966)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2022-03-31
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Keywords | 2光子励起顕微鏡 / 膵癌 / 血行性肝転移 |
Outline of Annual Research Achievements |
マウスの脾臓内へ膵癌細胞を移植する血行性肝転移モデルを用い、肝臓内での膵癌細胞と血管との相互関係や時間経過での変化について、2光子励起顕微鏡によって観察する。 7週齢、108週齢の雄性C57BL/6マウスを用い、イソフルラン吸入麻酔下にて脾臓を体外へ露出し、70kDa Dextranとマウス膵癌細胞株 (GFP発現、Hoechst染色済) の混合液0.1 mLを脾臓内へ注入した。注入後30分以内に体外へ露出した肝臓を吸引型マウス固定装置(吸引圧約30mmHg)にて吸引固定して視野を確保した。2光子励起顕微鏡にて70kDa Dextranで描出された肝臓の血管内にマウス膵癌細胞が観察できた。観察開始から2分ごとのタイムラプス動画を0.5~1時間撮影し、マウス膵癌細胞の動きを観察した。今回の観察では、7週齢、108週齢のマウス共に、脾内移植した癌細胞は、血流にのって肝臓までは流れてきたが、肝内では血管内に留まり、ほとんど動かずに血管壁に留まっている癌細胞が多く観察できた。さらに、肝臓表面から100μmの深さまでの3D画像を取得し、血管分岐と癌細胞がその血管内にどれくらいとどまっているのかを評価した。その結果、7週齢と108週齢のマウスを比較すると、7週齢のマウスのほうが肝臓内に留まっている癌細胞が多かった。肝臓内の血管を週齢にて比較してみると、肝臓全体の血管としては108週齢のマウスの血管のほうが、7週齢のマウスの血管よりも太く、血管の分岐も多く認められた。これらの特徴が膵癌における血行性肝転移の成立のしやすさに関与している可能性があり、脾内移植から肝臓に転移結節が形成されるまで観察期間を開けた実験を現在進行している。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
新型コロナウイルス感染症蔓延の影響により、本年度に購入した吸引型マウス固定装置 (Olympus) の納品が予定よりも遅れ、実験開始時期が当初の予定よりも遅れた。しかしながら、脾内移植直後の移植癌細胞の動態の画像の取得はできており、今後転移結節の2光子励起顕微鏡による転移結節内の血管の画像取得、病理組織学的解析を進めていく予定である。
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Strategy for Future Research Activity |
マウス脾内移植直後及び移植後、転移結節形成時期の2光子励起顕微鏡により取得した画像、画像取得後に採取した諸臓器の病理組織学的観察を進めていく。若齢(7週齢)マウスと高齢(108週齢)マウスへの脾内移植、2光子励起顕微鏡による観察を行っている。取得画像における肝臓の血管分岐、血管内の癌細胞の動態の解析を進めていく。 特に病理組織学的評価としては、移植したマウス膵癌細胞株はGFP導入済であり、免疫組織化学染色にてホルマリン固定後の組織切片からもマウス膵癌細胞の所在は検出が可能である。また、転移結節内の血管分布については、血管内皮細胞マーカーのCD31、腫瘍新生血管マーカーのnestinの免疫組織化学染色も行い、2光子励起顕微鏡で得られた画像と併せて腫瘍血管の特徴を解析していく。
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