2023 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
20K16363
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Research Institution | Sapporo Medical University |
Principal Investigator |
真里谷 奨 札幌医科大学, 医学部, 助教 (50836757)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2024-03-31
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Keywords | 子宮体がん / 免疫療法 / 深層学習 / ミスマッチ修復蛋白 / がん免疫微小環境 |
Outline of Annual Research Achievements |
婦人科がんに対する免疫療法は、免疫チェックポイント阻害剤(Immune checkpoint inhibitor: ICI)がMSI-High固形がんに対し2018年に保険収載されており、大きな変革を見せた。我々はこのICIの投与のサロゲートマーカーとしての、がん免疫微小環境に着目して精査を行なった。まずはMHC Class I抗体, ミスマッチ修復(Mismatch repair: MMR)蛋白抗体等を用いて子宮体がんならびに大腸がんの病理検体に対し免疫染色を行い、免疫環境について比較検討を行なった。大腸がんにおいてはミスマッチ修復蛋白の欠損(dMMR)やMHC Class I分子の高発現が明白な予後良好因子であったが、子宮がんでは有意差が認められなかった。がん種に関わらずdMMRは一様にICIのサロゲートマーカーであるが、がん種においてその免疫微小環境は異なっており、個々のアプローチが望まれることが示された。 続けて我々はこの免疫微小環境に関する新たなスクリーニング手法の構築を試みた。近年、深層学習(人工知能)を用いた腫瘍病理像の解析が盛んに行われていることに着目し、子宮内膜がん病理組織像の分類モデル構築を試みた(Umemoto M, Mariya T et al., Cancers, in submitting)。類似の研究は大腸がんを主体に近年報告されつつあるが、我々の構築したMMR判定モデルの精度AUROC: 0.91は、現状最も高いスコアとなっている。今後はさらに免疫染色やゲノム解析を加えたアノテーションを付与することで、より多角的な腫瘍免疫微小環境の判定アルゴリズムを構築し、さらに構築モデルをいわゆるXAI(Explainable AI)として二次的に解析し内部要素を明らかにすることにより、子宮体がん免疫療法奏効に関する新たな知見の抽出を試みたいと考えている。
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