2022 Fiscal Year Research-status Report
血清中cell free DNAを用いた悪性リンパ腫の中枢神経再発リスクの研究
Project/Area Number |
20K16365
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Research Institution | Nagoya City University |
Principal Investigator |
鈴木 智貴 名古屋市立大学, 医薬学総合研究院(医学), 助教 (80834001)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2024-03-31
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Keywords | びまん性大細胞型B細胞リンパ腫 / 中枢神経再発 / 次世代シーケンサー |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究はびまん性大細胞型B細胞リンパ腫 (DLBCL) 患者の重要な予後不良イベントである中枢神経 (CNS) 再発を予測するための精度の高い因子を討するものである。CNS再発リスク因子として特定の遺伝子異常の関与および、「骨髄中に腫瘍由来の遺伝子異常が検出されること(病理学的に骨髄への腫瘍浸潤を認めない症例においても)」を考慮している。 多施設よりCNS再発したDLBCL患者が合計で47人登録され、国内では最大級のCNS再発DLBCL患者のコホートであると考えられる。47人の臨床病理学的な特徴についての評価を行い、CNS再発後の全生存期間の中央値は16カ月であった。また、予後に影響を与えた臨床的な因子 (performance status不良、70歳以上、リツキシマブの不使用)を見出し、2022年の日本血液学会総会で発表した。 一方で、登録患者 (47人中26人) から収集した腫瘍組織のホルマリン固定検体(FFPE) よりgenomic DNA (gDNA) を抽出し、全エクソンシーケンスによる遺伝子異解析を実施した。その結果、MCDあるいはC5と呼ばれるgenetic subgroupの特徴を有する腫瘍の頻度が、一般的なDLBCL患者集団におけるMCD (C5) の頻度よりも高いことが判明した。さらに、細胞膜の接着に影響を与える可能背がある遺伝子の変異を複数認めており、その意義について検討をさらに行う予定である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
4: Progress in research has been delayed.
Reason
FFPEから抽出したgDNAを用いて遺伝子変異解析を行ったため、gDNAの質が低いサンプルが存在した。これらにおいても信頼性の高い結果を得るために追加のシーケンスを行ったため時間を要した。腫瘍由来のgDNAを用いて行った全エクソンシーケンスの結果を参考として、各患者の骨髄由来 (腫瘍浸潤の有無に依らず) のgenetic DNAを用いたシーケンスを行う予定である。十分な読み込み深度を確保するためにターゲットシーケンスを行うことを検討しているが、ターゲットとする遺伝子の選定に時間を要している。
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Strategy for Future Research Activity |
細胞接着に関連する遺伝子変異の意義について、既報告との対比を行い、考察を進める。骨髄由来のgDNAを用いた遺伝子変異解析 (ターゲットシーケンス) を着実に進める。
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Causes of Carryover |
研究の進捗が遅れており、予定していた解析(骨髄検体を用いた、ターゲットシーケンス解析)が実施できなかったため。ターゲットシーケンスの遺伝子パネル選定およびシーケンスの実施を次年度に行う予定である。
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