2020 Fiscal Year Research-status Report
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20K16369
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Research Institution | University of Occupational and Environmental Health, Japan |
Principal Investigator |
原田 大史 産業医科大学, 医学部, 助教 (10835820)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2024-03-31
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Keywords | 培養細胞の確保 / 初代・継代培養 / 研究機器の修理 |
Outline of Annual Research Achievements |
手術検体から採取したヒト子宮平滑筋腫の細胞を採取し初代培養・継代培養を実施した。またHela細胞・脱分化型脂肪肉腫等の株化細胞についても取得の目途を立てている。これらは今後の培養研究に使用できる細胞を確保することを目的としている。上記のヒト子宮平滑筋腫の細胞については継代培養後に凍結保存することまで達成した。また上記のヒト子宮平滑筋腫の細胞に分化誘導試薬を用いて脂肪分化誘導を起こすことを確認した。 新型コロナウイルス感染症の流行の影響があり、在宅勤務の導入なども含め研究室内における実労働時間の確保が一時的に困難となった経緯があった。これにより培養研究を含む研究活動を今後継続的かつ安定的に実施できるように追加して研究室の環境を整える必要性が生じた。このため、研究室の人員確保および研究室のより効率的な利用ができる状況を形成した。研究室内の培養研究に使用する機器が複数故障した経緯があり、修繕が不可能であった培養顕微鏡を今回購入している。またSSDを利用した外部記憶端末の購入については、培養細胞の観察写真や解析結果の保存が可能な状態を確保し、将来的にはタイムラプス撮影等を利用して培養細胞の変化を継続的に確認・証明ができる環境を作ることも検討している。研究の進捗状況としては当初の計画よりも遅れているが、社会的な背景も考慮した上で、将来的に研究実績を確実に得られる研究環境を作ることを優先して実施対応した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
新型コロナウイルス感染症の影響で大学内の研究活動の自粛期間や研究員の活動時間の確保が難しくなる等の状況があり、研究を進めるに当たって必要な人的資源の継続的な確保が難しい状態が一時的に生じた。今後はこれらが解消されるような対応を行っており、現在は培養研究室が稼働できる人材を確保し、培養研究を継続的に実施できる状況を作った。
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Strategy for Future Research Activity |
切除検体から採取した良悪性の婦人科系ヒト腫瘍細胞は現時点で採取開始しており、それ以外にもHela細胞・脱分化型脂肪肉腫等の株化細胞を用いて、10% 血清を含む高グルコースのDMEM培地で初代・継代培養する。その後、「酸素(Normoxia/Hypoxia, 2.5% O2)」「血清(10% serum/non-serum)」「分化誘導試薬の有無(treated/non-treated with differentiation-inducing reagents)」に関して培養状態の比較検討をする。分化転換の誘発に関しては、遺伝子導入による遺伝情報の直接的な操作は行わず、特定の分化誘導に関連する蛋白阻害剤等を一つあるいは複数用いることで誘発する方法を検討している。 上記の培養条件に脂肪・神経・筋・骨等の分化誘導シグナルを選択的に負荷して培養細胞の分化転換を誘導する。分化転換の証拠となる形態変化は光学的観察法を用いる。細胞質内あるいは細胞膜タンパクの証明は、免疫染色法やウエスタンブロッティング法による評価を行う。分化誘導に関連する遺伝子発現はリアルタイムRT-PCR法で測定し、細胞内情報の連動性(RNA⇔蛋白⇔最終代謝産物)を確認する。「分化誘導前の細胞内情報の欠失あるいは減弱」と「分化誘導後の新しい性質変化の獲得」を証明することが目的である。 それぞれの細胞内のオートファジーの活性を市販されている蛍光試薬で光学的に評価し、免疫染色法・ウエスタンブロッティング法・リアルタイムRT-PCR法を併用して確認する。 上記実験系のそれぞれの結果は統計学的解析による比較検討を行う。
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Causes of Carryover |
新型コロナウイルス感染症の影響で大学内の研究活動の自粛期間や研究員の活動時間の確保が難しくなる等の状況があり、研究を進めるに当たって必要な人的資源の継続的な確保が難しい状態が一時的に生じた。今後はこれらが解消されるような対応を行っており、現在は培養研究室が稼働できる人材を確保し、培養研究を継続的に実施できる状況を作っている。予算の使用による消耗品の購入等を含めて適切なタイミングで実施するために、次年度で使用する選択を行った。 2020年度に予定していた培養研究と関連して、消耗品の購入等を順次行い培養研究およびその解析を行う予定である。
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