2022 Fiscal Year Annual Research Report
進行胃癌のDIC併発に関連する遺伝子発現異常の網羅的探索研究
Project/Area Number |
20K16374
|
Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
大内 康太 東北大学, 大学病院, 助教 (50781291)
|
Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2023-03-31
|
Keywords | 胃癌 / 播種性血管内凝固症候群 / 遺伝子発現異常 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究では、進行胃癌でDICの併発に関連する遺伝子発現異常を探索するため、合計25症例(DIC併発症例 13例、DIC非併発例 12例)の胃癌腫瘍組織を用いてマイクロアレイ解析を行った。固形がん患者に併発したDICでは、その誘因が「がんの進行」である場合と「感染症」である場合とが混在しているため、DIC併発症例として「がんの進行」が直接的な誘因と判断された症例のみを解析対象とした。 DIC併発症例とDIC非併発症例とで患者背景を比較した結果、DIC併発症例はびまん型の症例の割合が高く、また診断時に骨転移および凝固系検査の異常を認める割合が有意に高かった。マイクロアレイ解析によって得られた網羅的遺伝子発現データから、DIC併発症例とDIC非併発症例との間で有意に発現状態が異なっていた遺伝子は抽出されなかった。 さらに、網羅的遺伝子発現データを用いて教師無しクラスタリング解析を行った結果、進行胃癌症例は大きく分けて2つのクラスターに分類され、1つはDIC併発症例4例で構成され、特徴的な遺伝子発現パターンを示す群(D群)、もう1つはDIC併発症例と非併発症例とが混在している群(N群)であった。 2群間(D群 vs. N群)でDICを併発した症例の患者背景を比較したが、組織型、HER2ステータスや骨転移の有無、診断時の血液凝固関連検査の異常の有無に有意な差は認められなかった。 一方で、DICを併発した症例の一次治療における無増悪生存期間および一次治療開始後の全生存期間を比較した結果、Cluster_Dで有意に短縮しており、Cluster_Dに含まれる症例はより悪性度の高い症例群である可能性が示唆された。 D群とN群の2群間で有意に発現状態が異なる遺伝子として、合計2,756遺伝子が抽出され、DIC併発に関与する遺伝子の候補と考えられ、現在論文化を進めている。
|