2020 Fiscal Year Research-status Report
肺癌に対するがんワクチン開発に向けた、がん抗原に関する基盤データの取得
Project/Area Number |
20K16380
|
Research Institution | Gifu University |
Principal Investigator |
小室 裕康 岐阜大学, 医学部附属病院, 医員 (40839122)
|
Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2022-03-31
|
Keywords | 癌・精巣抗原 / エキソームシーケンス / RNAシーケンス / TIL / RT-PCR法 / Single Cell解析 |
Outline of Annual Research Achievements |
癌・精巣抗原(cancer-testis antigen:CTA)の一つであるKK-LC-1は肺癌患者の約35%、胃癌の80%、トリプルネガティブ乳癌の50%、子宮頸癌の30%程度で発現している共通抗原と言われている。本研究では特にKK-LC-1注目し、特異的なT細胞受容体(TCR)を同定、取得を試みている。KK-LC-1特異的TCRが取得できれば、KK-LC-1陽性患者に対する遺伝子改変T細胞輸注療法の道が拓ける。 2019年4月から2020年6月までの間に手術が施行された肺癌患者の切除検体よりRNAシーケンスを行いKK-LC-1陽性患者を同定した。また患者ごとのHLA型を決定し、その患者の末梢血中のリンパ球から抗原提示細胞を作成し、既知のKK-LC-1特異的なペプチドと共に培養し、TIL(tumor infiltrating lymphocyte)を刺激した。KK-LC-1に対するTILの反応性をIFN-γELISAで確認し、細胞障害性T細胞をシングルセルソーティングしTCR解析を行った。解析されたTCRの遺伝子情報からDNAを合成し、T細胞に導入してその抗原特異性を検討している。 また同一患者の腫瘍細胞中の細胞障害性T細胞をSingle Cell解析し、TCRの多様性や遺伝子発現などを解析することで、腫瘍特異的な細胞障害性T細胞の特徴を解析している。 KK-LC-1のshort peptideをもとにテトラマーを作成し、HLA型が同型の他患者の検体を染色し、single cell sortingを行った。Sortingで取得した抗原特異的なT細胞からもTCRを取得する予定である。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
2020-2021年中に臨床検体の収集、腫瘍反応性T細胞の検出を予定していたが、TIL中のKK-LC-1特異的なペプチドに対する細胞障害性T細胞の存在をIFN-γ ELISA Assayで確認し、シングルセルソーティングによりTCRの解析まで進行した。解析されたTCRのうち、腫瘍特異的なTCRを同定するまでは至っていない。
|
Strategy for Future Research Activity |
解析されたTCRをCloningし、T細胞に導入し、その腫瘍特異性を確認していく。腫瘍特異性が確認された場合は、既知のTCRと比較し、その親和性や細胞障害活性の強弱などを評価する。
|
Causes of Carryover |
納期の遅れている物品があるため、またCOVID-19の影響で予定していた学会に参加できなかったため次年度使用額が生じた。 TCR作成のためのDNA合成やプライマーなどの試薬購入費として使用する。また論文の校正、投稿費用としても使用する予定である。
|