2020 Fiscal Year Research-status Report
PARP阻害剤の新規耐性因子の同定と耐性克服治療法の開発
Project/Area Number |
20K16388
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Research Institution | Nagasaki University |
Principal Investigator |
佐々木 由香 長崎大学, 医歯薬学総合研究科(医学系), 特任研究員 (50823332)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2022-03-31
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Keywords | PARP阻害剤 / PARP / 抗がん剤耐性 |
Outline of Annual Research Achievements |
PARP阻害剤は、相同組換え修復に関わるBRCA1またはBRCA2に変異を持つ乳がん、卵巣がん、膵がんなどに対する合成致死性抗がん剤として開発された。副作用が少ない抗がん剤として期待されているが、PARP阻害剤の耐性機構は未だ詳細に解析されておらず、その耐性を克服するための治療法も確立されていない。そこで本研究では、 PARP阻害剤耐性に寄与する新規因子を同定し、その耐性機構を解明することを目的として研究を行った。 そのために、2020年度は、BRCA1のノックアウト細胞株の構築を目指した。CCLEデータベースより、BRCA1を高発現し、かつ、BRCA1変異を持たない細胞株を選択した。トリプルネガティブ乳がん細胞株および膵がん細胞株において、CRISPR/Cas9システムを用いて、BRCA1のノックアウト株作成を試みた。BRCA1に対するguide RNAを2種類合成し、off target効果を最小限にするためにCas9タンパク質と共にguide RNAをトランスフェクションした。合計49株のシングルクローンを単離し、BRCA1のmRNAレベルをqRT-PCRで評価した。その結果、BRCA1 mRNAレベルが上昇した細胞株を1株得ることができた。また、BRCA1ノックアウト細胞株構築後にPARP阻害剤耐性株を単離する予定であったため、本年度に各がん細胞株のPARP阻害剤感受性を解析し、耐性株単離時に使用する薬剤濃度に関して検討を行った。今後、BRCA1ノックアウトの条件および手法を見直し、新たにBRCA1ノックアウト細胞株を構築し、PARP阻害剤耐性株を単離する予定である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
本年度に乳がん細胞株および膵がん細胞株において、BRCA1のノックアウト株を構築する予定であったが、ノックアウト株を単離できなかったことから、やや遅れているという評価を選択した。
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Strategy for Future Research Activity |
BRCA1のノックアウト細胞株単離の方法を見直し、再度、トリプルネガティブ乳がん細胞株および膵がん細胞株を用いてBRCA1のノックアウトを行う。BRCA1ノックアウト株を作成し、構築した細胞株がPARP阻害剤に対して高感受性を示すことを確認した後、PARP阻害剤耐性株を新たに構築し、遺伝子発現解析を行うことで、どの遺伝子が発現上昇または低下することにより、PARP阻害剤耐性が誘導されるのかを検証する予定である。
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Causes of Carryover |
年度内にBRCA1ノックアウト株の構築に至らなかったことにより、実験で使用する薬剤を購入しなかったため、未使用額が生じた。次年度は、がん細胞株におけるBRCA1ノックアウトを再度試み、ノックアウト株を新たに構築する。本年度の未使用額を用いて新たにBRCA1ノックアウト用のプラスミドを構築する予定である。さらに、構築したBRCA1ノックアウト細胞株を用いてPARP阻害剤耐性株を単離し、その耐性株の耐性原因を解析する予定である。
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