2021 Fiscal Year Research-status Report
ミスマッチ修復欠損神経膠腫細胞に対するTMZ抵抗性を克服する新治療の開発
Project/Area Number |
20K16390
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Research Institution | Teikyo University |
Principal Investigator |
樋口 芙未 帝京大学, 医学部, 助教 (20537104)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | 神経膠腫 / TMZ / ミスマッチ修復欠損 / PARP阻害薬 / 薬剤抵抗性 |
Outline of Annual Research Achievements |
再発悪性神経膠腫の再発腫瘍の20-30%にmismatch repair (MMR)遺伝子の変異が認められ、この変異が標準治療薬であるアルキル化剤Temozolomide(TMZ)に対する抵抗性の要因となっている。本研究では、再発腫瘍をターゲットとしたMMR変異TMZ抵抗性腫瘍に対するあらたな治療戦略の開発を目的としている。 複数の神経膠腫細胞株に対して、MMR遺伝子であるMSH6遺伝子の発現低下株を樹立し、TMZに対する抵抗性が獲得されることを確認した。これらの細胞に対して、TMZに加えて、PARP阻害剤を併用したところ、細胞増殖抑制効果が得られ、TMZに対する感受性が回復することを確認した。次に、このPARP阻害剤の効果について、そのメカニズムを解明のため、PARPたんぱく質が重要な役割を果たすDNA修復機構であるBase Excision Repair(BER) pathwayに注目した。他のさまざまな方法でBERシグナルの阻害を行ったが、PARP阻害剤と同様の効果は得られなかったことから、PARP阻害剤併用によるTMZ感受性の回復のメカニズムはBER阻害によるものではない可能性が示唆された。そこで、TMZ抵抗性神経膠腫株についてTMZ単独、TMZ+PARP阻害剤投与下での、Microarrayによる遺伝子発現解析を行った。BER pathwayをはじめとした各種DNA修復機構に関わる遺伝子の発現変化を解析したが、コントロール細胞と比較して、遺伝子発現に大きな変化はみられなかった。今後、Miroarray解析にて発現変化の認められた遺伝子についてPARP阻害剤の効果との関連を解明していく予定である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
研究者の研究機関の異動により遅れが生じた。今年度は研究環境が整ったため、Microarrayの解析をすすめることで、遅れは取り戻せる見込みである。
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Strategy for Future Research Activity |
Microarrayの解析をすすめ、PARP阻害薬追加時に発現変化するmolecular pathwayを同定する。 あらたに同定されたmolecular pathway遺伝子の阻害や賦活効果をTMZ抵抗性細胞株を使用して検証することよりPARP阻害薬の効果のメカニズムを同定する。
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Causes of Carryover |
研究者の研究機関の異動のため、一部の研究計画について遅れが生じている。 次年度は研究環境も整ったため、遅れを取り戻せる見込みであり、Microarray解析解析や細胞培養関連品へ使用予定である。
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