2020 Fiscal Year Research-status Report
新規腫瘍マーカーとしてのテロメラーゼ活性亢進白血球の高感度検出システム構築
Project/Area Number |
20K16394
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Research Institution | Juntendo University |
Principal Investigator |
岡部 隆宏 順天堂大学, 医学(系)研究科(研究院), 博士研究員 (20748834)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2022-03-31
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Keywords | 新規腫瘍マーカー / テロメラーゼ亢進型白血球 / がん早期発見 / 奏功予測マーカー |
Outline of Annual Research Achievements |
肺癌の本邦における罹患者数は年々増加傾向にあり、最も死亡数の多い癌である。近年、腫瘍組織の侵襲的な採取を行わず、血液等の液性生体試料からバイオマーカーを測定するリキッドバイオプシーが注目され、早期がん診断や抗がん剤の奏功予測の臨床応用への試みが数多く行われている。特に、進行がんの標準治療となりつつある免疫チェックポイント阻害剤(Immune Checkpoint Inhibitor:ICI)の奏効予測を可能にするバイオマーカーが探索されている。本研究は、肺癌の診断、治療に対する新規バイオマーカーとして、末梢血白血球のテロメラーゼ活性を高感度かつハイスループットに測定できるシステムの構築を行い、早期診断、奏功予測バイオマーカーとしての有用性検証を目的としている。本研究の基盤技術であるテロメスキャンOBP-401は遺伝子改変アデノウイルスで、テロメラーゼ活性依存的に感染した細胞をGFP蛍光によって標識することができる。 予備試験では、肺癌患者の3 mLの末梢血から分離した白血球にOBP-401を感染させることでテロメラーゼ活性亢進白血球をGFP蛍光によって標識、検出できることを蛍光顕微鏡によって確認していたが、2020年度はフローサイトメトリ―を用い、単球がGFPを発現していることが確認できた。また、白血球に対しICIの奏功に関係する免疫チェックポイント受容体であるPD-1の免疫染色を行い、フローサイトメーターによってGFPと同時に発現率を測定した。これらの白血球のプロファイリングと実際の治療効果、臨床経過に相関が見られるか確認するために現在、実施症例数を蓄積している。また、白血球と同時に分離した血中循環腫瘍細胞(Circulating Tumor Cells ; CTCs)のOBP-401による標識と計数を行っており、実施症例数の蓄積後、CTC数との関係も検証していく。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
肺癌患者の末梢血採取の頻度がCOVID-19の影響により当初予測していたペースよりも遅くなったため、実施症例数の蓄積にやや遅れが出ている。
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Strategy for Future Research Activity |
2020年度は、OBP-401とフローサイトメーターを組み合わせた測定系の構築によって、白血球のテロメラーゼ活性とPD-1の発現率の同時測定を達成した。今後、PD-1以外の治療奏功予測に関わる細胞表面抗原の発現率も測定していく予定である。また、CTC数も含め、これらの血中細胞のプロファイリングと実際の治療、臨床経過に相関がみられるか検証する。
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Causes of Carryover |
COVID-19拡大の影響により当初予測していた検体収集のペースよりも遅くなったため
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