2021 Fiscal Year Annual Research Report
新規腫瘍マーカーとしてのテロメラーゼ活性亢進白血球の高感度検出システム構築
Project/Area Number |
20K16394
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Research Institution | Juntendo University |
Principal Investigator |
岡部 隆宏 順天堂大学, 医学(系)研究科(研究院), 博士研究員 (20748834)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2022-03-31
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Keywords | バイオマーカー / テロメラーゼ亢進白血球 / がん早期治療奏功予測 / がん早期診断 |
Outline of Annual Research Achievements |
血液等の液性生体試料からバイオマーカーを測定するリキッドバイオプシーが注目され、腫瘍組織の侵襲的な採取の代わりに、早期がん診断や抗がん剤の薬効予測などの臨床応用への試みが数多く行われてきた。本研究は、末梢血白血球のテロメラーゼ活性を測定できるシステムを構築し、テロメラーゼ活性亢進型白血球が肺がん早期診断や治療奏功予測の新規バイオマーカーとして有用であるか検証することを目的とした。本研究の基盤技術であるテロメスキャンOBP-401は遺伝子改変型アデノウイルスであり、感染した細胞にテロメラーゼ活性依存的に緑色蛍光タンパク質(GFP)を発現させ蛍光標識する。 進行性の非小細胞肺がんと診断され、免疫チェックポイント阻害剤(ICI)のPD-1/PD-L1阻害剤で治療を実施された55症例と標準化学治療を実施された29症例の患者から末梢血を採取した。末梢血1 mLから分離した白血球をOBP-401感染によってGFP標識し、フローサイトメーターを用いてGFP陽性白血球を測定した。検出された散乱光のパターンから、GFP陽性白血球はすべて単球であることを確認した。治療2コース後のRECISTによる治療効果判定が病勢安定もしくは病勢進行した症例を非奏功例、部分奏効をした症例を奏功例と定義し、全単球中におけるGFP陽性率を比較した。その結果、ICI治療群では奏功例(22症例)と非奏効例(33症例)の間で治療前のGFP陽性率に有意差が認められた。また、それぞれの治療群で治療前と治療1コース後のGFP陽性率の推移を観察した結果、治療奏功と相関した傾向は認められなかった。以上の結果より、ICI治療前における単球のテロメラーゼ活性が奏功予測のバイオマーカーとなる可能性が示された。
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