2020 Fiscal Year Research-status Report
Project/Area Number |
20K16401
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Research Institution | National Institutes for Quantum and Radiological Science and Technology |
Principal Investigator |
小此木 範之 国立研究開発法人量子科学技術研究開発機構, 放射線医学総合研究所 重粒子線治療研究部, 医長(定常) (00750572)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2022-03-31
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Keywords | 骨障害 / 放射線治療 / 重粒子線治療 / 不全骨折 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は、骨盤部への放射線治療後の骨障害に関して、(1)臨床データを基に線量・線質と骨障害の頻度・重症度との関連を調査し、(2)骨芽細胞・破骨細胞の放射線感受性について線量・線質との相関を解析し、(3)上記1、2を総合 した、normal tissue complication probabilityモデルを作成することを目的としている。 2020年度は、婦人科腫瘍に対して重粒子線治療を行なった患者における骨障害の頻度・重症度について解析した。132例の解析の結果、治療後2年の時点で、Grade1以上の晩期骨障害(画像検査で判明する骨障害)は22.3%、Grade2以上の晩期骨障害(症状のある骨障害)は8.3%で見られることが分かった。これは、標準的な放射線治療と比較すると同等あるいはやや少ない頻度であり、重粒子線治療の線量分布の良さ故の結果と考えられた。骨盤部の重粒子線治療において、最も頻度が高い骨障害の発生部位は仙骨であった。一方で、従来の放射線治療で高頻度に見られる恥骨の骨障害はほとんど見られず、重粒子線治療の優れた線量分布の恩恵を裏付ける結果と考えられた。 Grade1以上の晩期骨障害と、重粒子線の線量との関係についての解析の結果、20 Gy (RBE)以上の線量があたる骨の体積が晩期骨障害と関連していた。その他、治療前の患者BMIや喫煙歴が、Grade1以上の晩期骨障害のリスクとなり得ることが示唆された。尚、本研究成果については論文投稿し、国際誌に受理・公表された(Radiother Oncol. 2021;156:56-61. doi: 10.1016/j.radonc.2020.11.030.)。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本研究では、(1)臨床データを基に線量・線質と骨障害の頻度・重症度との関連を調査し、(2)骨芽細胞・破骨細胞の放射線感受性について線量・線質との相関を解析し、(3)上記1、2を総合した、normal tissue complication probabilityモデルを作成する、という3つのステップを2年で行う予定である。 (1)について、線量と骨障害の頻度・重症度についてのデータは取得できており、現在、線質(線エネルギー付与:LET)と骨障害の頻度・重症度についてのデータについて解析を進めている最中である。(2)についての実験の準備も進めており、概ね順調に進展していると考える。
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Strategy for Future Research Activity |
まずは線質(線エネルギー付与:LET)と骨障害の頻度・重症度についてのデータについて解析を進める。具体的には、実際に治療が行われた重粒子線治療の治療データをもとに、専用の計算手法・装置を用いることで、LETの分布を可視化・定量可することが可能であり、LET分布と骨障害の頻度・重症度を明らかにする予定である。 また、骨芽細胞・破骨細胞の放射線感受性については、線量および線質を変えて照射実験を行う予定である。それぞれの細胞がどの程度、生存・機能するかについて、ALP染色およびTRAP染色で評価する予定である。
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Research Products
(1 results)