2021 Fiscal Year Annual Research Report
プロテオームデータに基づく細胞組成解析手法の開発と胃がん治療効果予測への応用
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20K16403
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Research Institution | National Institutes of Biomedical Innovation, Health and Nutrition |
Principal Investigator |
伊藤 寿宏 国立研究開発法人医薬基盤・健康・栄養研究所, 医薬基盤研究所 プロテオームリサーチプロジェクト, 特任研究員 (40806593)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2022-03-31
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Keywords | 抗体医薬 / ヒト化抗体 / バイオインフォマティクス / タンパク質立体構造予測 |
Outline of Annual Research Achievements |
ADAMTS13(A disintegrin-like and metalloproteinase with thrombospondin type-1 motif 13)は止血因子であるフォンウィルブランド因子(VWF)を特異的に切断する酵素であり、血管内においてVWF依存性血小板凝集を抑制している。一方で、植込型左室補助心臓を用いた治療において、植込型左室補助心臓のポンプ圧力から発生した高ずり応力によりADAMTS13が過剰活性し、VWFの過剰切断による出血を呈する。こうした出血の合併症は後天性フォンウィルブランド症候群と呼ばれ、急性心不全治療における機械的補助循環で高頻度に認められている。本研究では後天性フォンウィルブランド症候群の治療法の開発を目的として、抗マウスADAMTS13抗体A10を用いた治療用抗体の作製を行った。2021年度は、2020年度に構築したヒト化抗体作製ワークフローを用いて、ヒト抗体8A7および16E8とマウスA10抗体を組み換えることによってヒト化抗体A10/8A7およびA10/16E8を作製し、その結合活性および阻害活性を評価した。 抗体のカイネティクス解析およびADAMTS13阻害活性試験の結果から、作製されたヒト化A10抗体はマウスA10抗体と比較しても遜色のない結合活性および阻害活性を有することが確認された。中でも、A10/16E8はA10/8A7と比較して高い活性を有していた。次に、ADAMTS13に対する抗体結合の分子メカニズムを明らかにするために、バイオインフォマティクス解析によるヒト化A10抗体およびマウスA10抗体の立体構造予測を行った。結果として、A10/16E8では相補性決定領域の立体構造が高度に保存されていたことから、抗体親和性に関与する領域の構造類似性が抗体の活性に影響することが示唆された。
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Research Products
(4 results)