2023 Fiscal Year Annual Research Report
大腸癌における糖鎖を標的としたレクチン新薬の臨床応用を目的とした基礎的研究
Project/Area Number |
20K16404
|
Research Institution | University of Tsukuba |
Principal Investigator |
大原 佑介 筑波大学, 医学医療系, 講師 (90757791)
|
Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2024-03-31
|
Keywords | レクチン / 大腸癌 / 抗がん治療 / マイクロアレイ |
Outline of Annual Research Achievements |
所属研究室ではレクチンマイクロアレイ技術、臨床に即した動物モデルを駆使して膵癌特異的糖鎖を同定し(H-Type 1/3/4)、特異的に結合するレクチンrBC2LC-Nを発見した。ヒト大腸癌細胞株にH-type 1/3/4がどの程度発現しているかをまず明らかにすることを考えた。大腸癌細胞株については大腸癌の組織型、マウスへの移植経験等の観点から論文をサーベイし、HT-29、LoVo、LS174T、DLD-1を選択した。レクチン染色を施行するとLS174T、DLD-1は強陽性であったが、HT-29、LoVoは弱陽性であった.我々は今までに膵癌細胞株においても細胞株間のレクチン染色の強弱がみられたが、本実験の結果をみると同様のことが大腸癌細胞株にも当てはまった。一方で、レクチン染色の結果が単なる非特異的反応ではなく、癌細胞の糖鎖発現に由来している可能性が高くなった。さらにin vitroでのrBC2LCNレクチンの結合パターンをin vivoで確認すべく、大腸癌細胞株を免疫不全マウスに移植し、マウスゼノグラフトモデルを作成して検証した。組織学的にはDLD-1、HT-29、Lovoは低分化の癌細胞であり、LS174Tは高分化-中分化の癌細胞であった。in vitroの研究同様にLS174T、DLD-1、Lovoはレクチン染色で強陽性であり、HT-29は弱陽性であった。rBC2LC-N-PE38をマウスに投与し、体重減少、各臓器障害の顕微鏡的評価、血液毒性について評価したが、有意な毒性所見はみられなかった。 本課題においては、レクチンをターゲットとした新規大腸癌治療戦略における基礎的研究の成果を得ることができた。これらにより本コンセプトが十分に臨床応用可能な治療になりうることを示すことができたと考える。
|