2020 Fiscal Year Research-status Report
膵癌における抗体医薬耐性機序の解明―補体制御蛋白に着目してー
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20K16419
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Research Institution | Fukushima Medical University |
Principal Investigator |
鈴木 玲 福島県立医科大学, 医学部, 助教 (80590546)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | 膵癌 / 補体 |
Outline of Annual Research Achievements |
本年度は、膵癌における補体制御因子発現の確認、膵癌微小環境の構成細胞による補体制御因子(complement regulatory proteins: CRP)発現機序について以下の結果を得た。 1.The Cancer Genome Atlas project(TCGA)データベースの2次情報から、代表的なCRPであるCD46, CD55, CD59と膵癌微小環境構成因子に関する遺伝子発現の相関を検討した。結果、CD46に関しては相関する因子は明らかではなかったが、CD55は膵星細胞とNK細胞、CD59は単球、Treg、骨髄由来抑制細胞の発現と正の相関があり、これらの細胞との相互作用がある可能性が考えらえた。2.CD55の発現は膵星細胞との共培養で増強し、PGE2が関連していることが示唆された。また、CD59発現に対する単球系の働きを検討するため、PMA誘導ヒト急性単球性白血病細胞株THP-1を用い、単球系由来サイトカイン(IL-6, TNF-α)がCD59発現を増強することを明らかにした。以上の結果よりCRP発現は膵癌微小環境中に複数の因子によって発現が調整されている可能性が示唆された。 また、次年度と目標であったモノクロナール抗体の補体障害性細胞障害及び抗体依存性細胞障害に対するCRPの影響を細胞実験により検証した。膵癌細胞におけるCRP発現をRNAiにより減弱させモノクロナール抗体cetuximab の細胞障害作用について検討したが、CRP発現減弱による細胞障害作用の増強は確認できなかった。 一方、新たな知見として、膵癌細胞内に補体C3aが発現すること、補体C3a-C3aR受容体系とEMTとの関連が確認された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
2020年度の研究目標についてはTCGAデータベースを用い、CRP発現と関連する因子について概ね把握することができた。また、2021年度に予定していた細胞実験を前倒して行うことができた。一方、細胞実験ではEGFR抗体の膵癌細胞障害作用とCRPの発現に関連は見いだず、今後はCRPによる免疫細胞の活動抑制の有無の検証を主として進める。
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Strategy for Future Research Activity |
CRP発現はモノクロナール抗体の細胞障害作用について影響がなく、今後はCRPががん障害性の細胞誘導に関連しているか細胞及び動物実験を進める予定である。また、新知見として明らかとなった膵癌に発現する補体C3やC3受容体にも注目し、補体系を標的とした新規治療の開発に引き続き取り組む予定である。
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Research Products
(1 results)