2021 Fiscal Year Research-status Report
膵癌における抗体医薬耐性機序の解明―補体制御蛋白に着目してー
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20K16419
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Research Institution | Fukushima Medical University |
Principal Investigator |
鈴木 玲 福島県立医科大学, 医学部, 助教 (80590546)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | 膵癌 / 補体 |
Outline of Annual Research Achievements |
前年度に引き続き膵癌における補体C3とC3受容体C3aRの臨床的意義について検討し、以下の知見を得た。 1.C3a-C3aR系による膵癌上皮間葉転換促進作:C3aRを発現するヒト膵癌細胞株Panc-1, MiaPaca-2を用いた実験を行った。C3a添加により細胞の増殖、遊走・浸潤能が亢進し、western blotで各種EMTマーカーの変化が確認された。更にC3aの作用はC3AR shRNAによるknock downやC3aR阻害薬SB290157により減弱し、C3aがC3aRを介しErk経路を活性化することで上皮間葉転換を促進させることが明らかとなった。同研究結果は国内学会主題演題に採択され、また国際誌Anticancer Researchに掲載された。 2.膵癌におけるC3発現の臨床的意義:次に膵癌組織tissue microarrayにより膵癌組織においてC3が発現し、C3が高発現するグループは転移症例が多いことを明らかにした。C3を発現する膵癌細胞株BxPC-3とT3M-4を用い、C3 shRNAによるknock downによる細胞の変化を評価した。C3をknock downされた細胞株は対照と比べ遊走・浸潤能が低下していた。現在、関連する細胞内シグナル伝達系の解析、及びマウス皮下移植モデルを作成する事で生体内での癌細胞の増殖能への影響を評価する予定である。 3.免疫チェックポイント分子としての補体C3a-C3aRの作用:データベースに登録された遺伝子発現の解析により、膵癌組織におけるC3やC3aRの発現はマクロファージやT細胞浸潤に関連している可能性が示唆された。目下、各種炎症細胞に発現するC3aRに着目し、膵癌との相互作用について検討を進めている。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
前年度の研究で補体制御タンパクと抗体医薬の作用について関連を見いだせず、補体C3とC3aRを研究の対象として研究結果の一部を学会や論文で発表することができた。令和3年度に補体C3に関する動物実験を計画し、次年度研究費を前倒し請求したが諸準備に時間を要し令和4年度の実施となる見込みである。
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Strategy for Future Research Activity |
①膵癌内に発現する補体C3の働きについて動物実験:C3 shRNAを導入した膵癌細胞株 をヌードマウス皮下へ移植し、腫瘍増殖に対するC3発現の影響を確認する。 ②免疫チェックポイント分子としてのC3a-C3aR系の働きについての検討
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Causes of Carryover |
令和3年度に動物実験等を予定し研究費の前倒し請求を行った。しかしながら、諸準備のため時間を要し実験を令和4年度に施行することとなり、次年度使用額が生じた。
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Research Products
(3 results)