2022 Fiscal Year Annual Research Report
膵癌における抗体医薬耐性機序の解明―補体制御蛋白に着目してー
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20K16419
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Research Institution | Fukushima Medical University |
Principal Investigator |
鈴木 玲 福島県立医科大学, 医学部, 助教 (80590546)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | 膵癌 / 補体 |
Outline of Annual Research Achievements |
本年度はこれまでの研究結果を受け下記実験を進めた。1.膵癌細胞内C3発現の臨床的意義:C3発現をknockdownした膵癌細胞株(C3 KD)を免疫不全マウスBALB/c nudeへ移植し、増殖能の変化を検討した。結果、BxPC-3では対照群と比べてC3 KD群で腫瘍重量が減少した。一方、T3M4ではその傾向は見られず、細胞株によりC3発現が及ぼす影響に差がある事が分かった。膵癌細胞内C3発現に実験結果をまとめ英文雑誌に採択された。2.膵癌免疫回避機構における補体C3受容体C3ARの役割:TCGA-PAADに登録された遺伝子発現の解析により、膵癌組織内に発現するC3ARは免疫細胞浸潤、中でもM2 macrophageの浸潤と関連する可能性が示唆された。ヒト単球細胞株THP-1をIL-4/13でM2 macrophage分極(M2分極)を誘導した際にC3AR発現が増加し、C3AR1発現をsiRNAで減弱させるとM2分極が抑制され事が明らかとなった。この結果からC3AR発現はTHP-1細胞のM2分極に関連していると考えられた。また、M2 macrophageは免疫チェックポイント分子PD-L1発現が増強し、末梢血由来T細胞の共培養によりCD8+T細胞分化を抑制した。C3AR siRNAあるいはC3AR阻害薬はM2 macrophageによるCD8+T細胞分化抑制を減弱する事が可能であり、抗腫瘍免疫の賦活化に寄与する可能性が見いだされた。以上の結果をもとにトランスジェニックマウスを用いた研究計画を立案し、2023年度の科研費基盤(C)に採択された。
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Research Products
(4 results)