2020 Fiscal Year Research-status Report
Identification of biological factors of carcinogenesis of multiple organ malignancies in colorectal cancer patients
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20K16420
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Research Institution | Jichi Medical University |
Principal Investigator |
加藤 高晴 自治医科大学, 医学部, 助教 (20383242)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2024-03-31
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Keywords | 大腸癌 / 多臓器癌 / 脱メチル化 / Satelliteα |
Outline of Annual Research Achievements |
大腸癌患者に他臓器癌を発生する分子機構-特にゲノム全体の脱メチル化異常を介した発癌形式-を明らかにするため、前年度は症例毎の臨床病理情報を搭載したデータベースの完成を進め、現在約2,600例の臨床病理情報-生存、再発の有無、再発形式、家族歴、他臓器癌の情報を取集している。同時に血液検体よび切除組織検体のストックを蓄積してきた。また、他臓器癌合併症例の選択を行った。比較対象として、長期の予後が確認できた他臓器癌未発生症例を選定した。この二郡で腫瘍部におけるKRAS遺伝子変異を計測(ダイレクトシーケンス法)し、またsatellite α transcriptsの多寡を測定(real time PCR法)している。 一方で、satellite α transcriptsの産生量は同一腫瘍内でも部位による多寡がある事が懸念されたため、同一腫瘍内の複数個所でtranscriptsを測定した。その結果、腫瘍内での発現量の差は極めて少ない事が確認できた。また、癌部でのsatellite α transcripts発現が少ない症例においては、正常組織が混入している為に発現が低く測定されている恐れがあり、この可能性を吟味しその可能性を否定できた。 さらには6種の大腸癌細胞株を用いた実験を行った。大腸癌細胞株に対して脱メチル化剤(5-Aza-dC)を投与したところ、使用した全種類の大腸癌細胞株において、satellite α transcriptsの産生が増加している事が確認できた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本研究テーマにはデータベースの詳細な情報(家族歴、他臓器癌発生の有無)が大変重要になる。昨年度はこの作成が進んだ。 また、ダイレクトシーケンス法によるKRAS変異の評価が逐次行えている。 さらにはsatellite α transcriptsの測定も条件検討が済み、臨床検体での測定を開始できている。satellite α transcriptsは同一腫瘍の中での発現の多寡や、発現低値例における正常組織のコンタミネーションの可能性をともに否定できた。今後は臨床検体において、一か所のみの部位からsatellite α transcriptsを計測していう方針が立った。
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Strategy for Future Research Activity |
本研究結果が、大腸癌患者の長期予後を得る一助となり、本邦の健康寿命の延長に寄与する事が期待される。今年度はKRAS変異検索の継続に加えTP53の変異検索を予定する。さらにはデータベースの欠損データの築盛を続ける。 また、本研究では脱メチル化が癌化を起こす機序の解明までは対象としないが、当教室のこれまでの研究によって、セントロメア領域を構成する反復配列であるsatellite αの脱メチル化の結果、細胞分裂に異常をきたす事を報告してきた。この現象は脱メチル化に伴うsatellite α transcriptsの高発現により、セントロメア蛋白の機能異常をきたす為だと推測された。脱メチル化による癌化の機能解析については、本研究の後に進めていく。
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Causes of Carryover |
次年度も今年度と同様に計画的な執行を検討する。
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Research Products
(6 results)