2021 Fiscal Year Research-status Report
Identification of biological factors of carcinogenesis of multiple organ malignancies in colorectal cancer patients
Project/Area Number |
20K16420
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Research Institution | Jichi Medical University |
Principal Investigator |
加藤 高晴 自治医科大学, 医学部, 助教 (20383242)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2024-03-31
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Keywords | 大腸癌 / 他臓器がん |
Outline of Annual Research Achievements |
大腸癌患者に他臓器癌を発生する分子機構-特にゲノム全体の脱メチル化異常を介した発癌形式-を明らかにするため、前年度は症例毎の臨床病理情報を搭載したデータベースの完成を進め、現在約2,600例の臨床病理情報-生存、再発の有無、再発形式、家族歴、他臓器癌の情報を取集している。現在、後述のごとく2,438名のデータ集積を行い大腸癌患者の内512人(21.0%)に588の他臓器がん発生を認めている事を確認した。性別ごとの内訳は男性332人(22.3%)に384の他臓器がん、女性176人(18.5%)に204の他臓器がんを発症していた。発がん臓器の内訳は上位から順に胃149、肺91、前立腺64、乳腺42と胃癌が最も多かった。またうち5重複がん患者1名4重複がん患者5名、3重複がん患者72名だった。これと並行して、血液検体よび切除組織検体のストックを蓄積してきた。一方、satellite α transcriptsの産生量は同一腫瘍内でも間質成分や正常組織のコンタミネーションなど、部位による多寡がある事が懸念されたため、同一腫瘍内の複数個所でtranscriptsを測定した。その結果、腫瘍内での発現量の差は極めて少ない事が確認できた。また、癌部でのsatellite α transcripts発現が少ない症例においては、正常組織が混入している為に発現が低く測定されている恐れがあり、この可能性を吟味した。さらには6種の大腸癌細胞株を用いた実験を行った。大腸癌細胞株に対して脱メチル化剤(5-Aza-dC)を投与したところ、使用した全種類の大腸癌細胞株において、satellite α transcriptsの産生が増加している事が確認できた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
本研究テーマにはデータベースの詳細な情報(家族歴、他臓器癌発生の有無)が大変重要になる。昨年度はこの作成が進んだ。2438名の大腸癌患者の内512人(21.0%)に588の他臓器がん発生を認めた。(男性332人(22.3%)に384の他臓器がん、女性176人(18.5%)に204の他臓器がん)うち5重複がん患者1名4重複がん患者5名 3重複がん患者72名だった。発がん臓器の内訳は胃149、肺91、前立腺64、乳腺42、血液32、腎29、膀胱尿管27、子宮26、食道20、肝20、咽頭喉頭14、甲状腺12、皮膚9、卵巣9、脳7、膵6、舌6、筋・骨5、小腸2、陰茎1で胃が最多だった。これまでの報告に比し高頻度の他臓器がん併存が認められた。satellite α transcriptsは同一腫瘍の中での発現の多寡や、発現低値例における正常組織のコンタミネーションの可能性をともに否定できた。今後は臨床検体において、一か所のみの部位からsatellite α transcriptsを計測していう方針が立った。
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Strategy for Future Research Activity |
今年度はJDDW(日本消化器関連学会週間)で主に上記結果を含めた臨床データの中間結果を報告する予定である。本研究結果が、大腸癌患者の長期予後を得る一助となり、本邦の健康寿命の延長に寄与する事が期待される。またKRAS変異検索の継続に加えTP53の変異検索を予定する。さらにはデータベースの欠損データの築盛を続ける。また、本研究では脱メチル化が癌化を起こす機序の解明までは対象としないが、当教室のこれまでの研究によって、セントロメア領域を構成する反復配列であるsatellite αの脱メチル化の結果、細胞分裂に異常をきたす事を報告してきた。この現象は脱メチル化に伴うsatellite α transcriptsの高発現により、セントロメア蛋白の機能異常をきたす為だと推測された。脱メチル化による癌化の機能解析については、本研究の後に進めていく。
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Causes of Carryover |
次年度も今年度と同様に計画的な執行を検討する。
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