2021 Fiscal Year Annual Research Report
Development of novel targeted therapy for esophageal squamous cell carcinoma
Project/Area Number |
20K16434
|
Research Institution | University of Tsukuba |
Principal Investigator |
鄭 齢 筑波大学, 医学医療系, 助教 (70833565)
|
Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2022-03-31
|
Keywords | 扁平上皮癌 / THG-1 / リン酸化 |
Outline of Annual Research Achievements |
食道癌は主に扁平上皮癌と腺癌を含む二つの組織型に分類することができるが、アジアで特に多いのが扁平上皮癌である。食道扁平上皮癌は初期段階の診断が困難で、手術後の再発や、リンパ節転移、隣接器官への浸潤が起こりやすいため、進行に関わる特異的な標的分子のメカニズムの更なる理解は、治療および予後の改善のために重要である。本課題では食道扁平上皮癌において高発現するがん遺伝子THG-1の分子機能について、THG-1による腫瘍形成能誘導にはリン酸化が重要であることではないかと考えたため、THG-1のリン酸化反応を中心に明らかにし、新たな食道扁平上皮癌の分子標的治療法の開発を目的として行われた。足場非依存的培養条件下で培養したTHG-1ノックダウン細胞、THG-1過剰発現細胞(野生型THG-1、リン酸化されないTHG-1、Phosphomimetic THG-1)および腫瘍サンプルを用いてRNA-seqを行い、THG-1のリン酸化で変動する遺伝子の解析で関連性が高い代謝経路やシグナル経路(P53シグナル伝達経路など)を見出した。その中でもリン酸化THG-1の発現扁平上皮癌でグルタミン代謝の変化が認められ、グルタミン代謝経路で重要な働きをする分子がTHG-1により制御されていることが明らかなり、さらにその分子の抑制化合物を見出し、リン酸化THG-1発現がん細胞において増殖抑制作用を示した。この結果はTHG-1のバイオマーカーとして応用の可能性が考えられる。 リン酸化THG-1の詳しい分子メカニズムの解析結果をもとに、リン酸化THG-1、そのTHG-1と特異的に結合する分子、およびリン酸化THG-1の発現により制御される分子などを標的とし、新規化合物の探索を続け、バイオマーカー開発および新規治療法の開発を目指す。
|