2020 Fiscal Year Research-status Report
PIP化合物による肝胆膵癌の微小管ダイナミックスを標的とした新規治療ツールの開発
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20K16435
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Research Institution | Gunma University |
Principal Investigator |
渡辺 亮 群馬大学, 医学部附属病院, 助教 (60738847)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2022-03-31
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Keywords | STMN1 / PIP化合物 / 抗腫瘍効果 / 増殖能 / 肝胆膵癌細胞株 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究の目的は、肝胆膵癌においてSTMN1をターゲットとした新規治療アプローチを開発することである。STMN1の抑制においては、ピロールイミダゾームポリアミド(PIP)化合物を用いたアプローチを行う。PIP化合物は、RNA干渉と同様に任意の遺伝子配列をターゲットとして設計可能であるにもかかわらず、RNA干渉の弱点である生体内での不安定性、デリバリーの問題を克服した新規抗がん化合物である (Biol Pharm Bull. 2011;34(10):1572-7)。STMN1におけるPIPによる抑制は現在まで報告が無く、極めて新規性の高いデータになる。 In vitroでの検討:肝胆膵癌細胞株におけるSTMN1標的PIP化合物の薬効評価 ①PIP化合物による増殖抑制効果:肝細胞癌株HLF、膵癌細胞株Suit-2に対して STMN1標的PIP化合物を添加したところ、いずれにおいても増殖能を抑制することが示された。(胆管癌細胞株への効果は報告済み)。 ②PIP化合物による浸潤能抑制効果:膵癌細胞株Suit-2に対して STMN1標的PIP化合物を添加したところ、浸潤能を抑制することが示された。 これらの結果から、PIP化合物の肝胆膵癌における抗腫瘍効果を証明することができた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
PIP化合物と抗がん剤との併用による腫瘍効果の検討まで進めることができなかった。
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Strategy for Future Research Activity |
In vitroではPIP化合物と抗がん剤の併用による抗腫瘍効果の検討を行い、その後にin vivoでの検討に進む予定である。 In vitroでの検討:STMN1標的PIP化合物とパクリタキセル(抗癌剤)の併用効果の検証 In vivoでの検討:マウスによるSTMN1特異的PIP化合物の薬効評価 安全性: STMN1特異的PIP化合物 (320 mg/kg body weight)を尾静脈より週5日間、4週間投与し定期的な体重測定、外観観察、採血、重要臓器の組織学的検討により安全性を評価。 薬効試験:肝胆膵癌細胞株を用いた担癌モデルマウスにSTMN1特異的PIP化合物 (320 mg/kg body weight)を尾静脈より週5日間、12週間投与し (全身状態不良、腫瘍径が2cmに達した時点で安楽死)、PIP化合物投与群での抗腫瘍効果をコントロール群と比較する。タキサン増感効果検証:同様のモデルマウスを用いてSTMN1特異的PIP化合物投与とパクリタキセル (25mg/kg body weight/each week)を併用し、PIP化合物により肝胆膵癌細胞株のパクリタキセル感受性が亢進する増感効果が誘導されるかを動物実験で検証する。
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Causes of Carryover |
実験費用が必要であるため(in vivoにおける研究を進めるため)。
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