2020 Fiscal Year Research-status Report
グルタミン代謝抑制によるCD8+ T細胞の抗腫瘍活性増強法のヒトへの応用
Project/Area Number |
20K16446
|
Research Institution | Ehime University |
Principal Investigator |
名部 彰悟 愛媛大学, 医学系研究科, 助教 (20795033)
|
Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2023-03-31
|
Keywords | グルタミン代謝 / 疲弊 / 細胞免疫療法 / CD8陽性T細胞 |
Outline of Annual Research Achievements |
がんの治療のために、がん細胞を攻撃するように調製した白血球(特に「T細胞」など)を患者さんに投与する治療を細胞免疫療法といいます。このような治療は、従来の抗がん剤では治療できなかったがんを克服できる可能性を持っている一方で、この治療法ならではの未解決の問題も残っています。特に、患者さんに投与したT細胞ががん細胞と反応するうちに徐々に機能を失っていく現象が知られており、これは「疲弊」と呼ばれていて細胞免疫療法が失敗する原因として重要なものとなっています。私たちはこれまでの研究で、マウスの実験モデルにおいて、T細胞を培養する際に培地の成分からアミノ酸の一種であるグルタミンを減量することにより、より疲弊しにくくがんに対する治療効果の高いT細胞を培養する方法を開発しました。この研究での私たちの目的は、この技術を人のがん治療に応用できるようにすることです。マウスの実験モデルは実際に人で現在行われている細胞免疫療法とは技術的に異なる部分も多いので、私たちが開発した技術を人の治療に応用するには、マウスのモデルのために作った方法を人に合わせて応用していかなければなりません。 この研究では、これまでの期間を使って、人の細胞で私たちの技術を活用する方法を開発しているところです。まだ基礎的な試行錯誤の段階なので、公開された研究成果はありません。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
マウスで確立した技術を人のリンパ球の培養に応用するのに困難が伴っているため。特に、マウスにおいては脾臓から容易にナイーブT細胞を回収できたのに対し、人では末梢血からT細胞を回収せざるを得ず、十分な細胞の量が確保できないことが問題となっている。それに伴って、培養後のT細胞の質・量を確保するために、技術的な工夫が必要となっているため。
|
Strategy for Future Research Activity |
ナイーブT細胞からの培養ではなく、技術的に確立されているCAR-T細胞の培養にグルタミン代謝抑制培養の技術を応用することを試み、その治療効果を検証する。
|
Causes of Carryover |
実験系の構築に想定より時間がかかり、行う予定だった(特にマウスを用いた)実験で行えていないものがあるため。マウスの購入・管理費など、予定した実験を行うために使用する予定。
|