2020 Fiscal Year Research-status Report
ペメトレキセドの腫瘍免疫応答誘導に関与する白血球プロファイリング解析
Project/Area Number |
20K16453
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Research Institution | Juntendo University |
Principal Investigator |
高木 陽 順天堂大学, 医学(系)研究科(研究院), 助教 (40868907)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2022-03-31
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Keywords | ペメトレキセド / 腫瘍免疫応答誘導 / 非扁平小細胞肺がん |
Outline of Annual Research Achievements |
切除不能な進行非小細胞肺癌に対する全身化学療法として、ペメトレキセド(PEM)を投与中の患者を対象に、採血検体を用いて白血球プロファイリングを実施する。白血球は免疫系の変化を鋭敏に反映するため、細胞表面に発現している免疫チェックポイント分子や白血球自体のテロメラーゼ活性などの定量は、鋭敏なICI(免疫チェックポイント阻害剤)奏効予測マーカーとなり、将来的な、PEM及びPEM+ICI併用療法の個別化治療選択に応用が可能となる。少量採血による診断システムは即座に他科のがん診断にも応用可能であり、将来的には非侵襲的がん診断法として肺がん研究にとどまらず、さまざまながん種へ展開することを目指す。本システムの実現によって治療奏効率の向上と生存期間の延長で国民生活の質の向上と高額ながん医療コストの節減による社会経済の発展に貢献できることが見込まれ、本研究の学術的意義は非常に大きい。 本研究ではまず患者本人より研究同意を得た上で、EDTAスピッツ採血を行った後、比重遠心法でPBMCを回収した。赤血球・血小板の除去やブロッキングなどの前処理を行ったのち、蛍光標識抗体を用いて白血球特異的な表面抗原や免疫チェックポイント分子などを標識し、フローサイトメトリーによる解析を行った。PEM長期奏功患者では、非奏功患者と比較してNLRやリンパ球数が増加しており、リンパ球PD-1陽性率の上昇がみられた。一方で単球については奏功との相関性はみられなかった。これらの結果は原著論文として査読付き英文雑誌に投稿した(J Transl Med. 2021; 19: 92.)。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
PEM投与患者の臨床情報について統計解析を行うとともに、採血検体を用いて免疫チェックポイント分子などのフローサイトメトリー解析を行い、これらの結果を原著論文として査読付き英文雑誌に投稿した(J Transl Med. 2021; 19: 92.)。
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Strategy for Future Research Activity |
PEMがimmunogenic cell deathにより免疫応答を惹起していることが想定されるため、他の免疫チェックポイント分子やテロメラーゼ活性などについても測定を進めており、PEM+ICI(免疫チェックポイント阻害剤)併用療法の奏功予測バイオマーカーとしての有用性を検証する予定である。フローサイトメトリーによるマルチカラー同時解析を行うために、染色条件検討やコンペンセーションなどを行なっている。また、特に単球については非刺激かつ高効率に回収してくる必要があるため、分離方法についての開発を行なっている。
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Causes of Carryover |
研究の進行は概ね順調だが、抗体や消耗品の使用量が想定よりもやや少なかったため差額が生じた。今後の実験は抗体などの使用量が増加すると予想されるため、それらの費用に使用予定である。
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Research Products
(1 results)