2021 Fiscal Year Research-status Report
ビッグデータ解析とin silico予測による乳がん発症予防に寄与する薬物の発掘
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20K16455
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Research Institution | Teikyo University |
Principal Investigator |
前島 多絵 帝京大学, 薬学部, 助教 (00862583)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | 抗精神病薬 / 血栓塞栓症 / 多剤併用 / JADER |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は、ビッグデータ解析やin silico予測により乳がんの発症予防に寄与する薬物を見出すことを目的としている。2021年度は2020年度に着目した抗精神病薬について、引き続きビッグデータ解析の手法を用いて、血栓塞栓症の重篤な転帰をだどる要因の解析を行った。 抗精神病薬の使用には血栓塞栓症のリスクがあることが知られており、添付文書においても注意喚起されている。日本人は欧米人と比較して、血栓塞栓症の発症率が低いことや、静脈血栓塞栓症の先天性危険因子である特定の遺伝子変異が見られないなどの特徴がある。しかしながら、本邦における抗精神病薬使用下の血栓塞栓症に関しては十分に解析されていないため、有害事象自発報告データべ―ス(JADER)を用いて、日本人における抗精神病薬使用下の血栓塞栓症を解析し、重篤な転帰をたどる要因を明らかにした。抗精神病薬を使用していた32,421症例から1,111症例の血栓塞栓症を抽出し、903症例を解析対象とした。症例を重篤な転帰をたどった症例(414症例)と重篤でない転帰をたどった症例(489症例)に分類した。重篤な転帰をたどるリスク要因を解析したところ、使用薬剤の中に3剤以上の抗精神病薬が含まれることが挙げられた。 本邦では診療報酬において、3剤以上の抗精神病薬の使用に制限があるが、本研究の結果から、同時併用に限らず薬剤調整や変更を含め、3剤以上の抗精神病薬を用いることで、血栓塞栓症の重篤な転帰のリスクになることが示唆された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
JADERの解析から抗精神病薬使用時の重篤な血栓塞栓症のリスクとして、3剤以上の抗精神病薬の使用を見出すことができた。また、研究結果を学会および論文にて発表した。
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Strategy for Future Research Activity |
2021年度は主にビッグデータ解析を行ってきたため、2022年度はin silico解析や細胞実験等による解析結果の検証を中心に、再度乳がんに着目して研究を進める予定である。
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Causes of Carryover |
in silico予測に用いるADMET Predictorのライセンス使用料を計上していたが、2022年よりアカデミアに対して、ライセンスが無償提供されるようになったため、次年度使用額が生じた。次年度には細胞実験に用いるクリーンベンチのメンテナンス費用として使用する予定である。
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