2022 Fiscal Year Annual Research Report
ビッグデータ解析とin silico予測による乳がん発症予防に寄与する薬物の発掘
Project/Area Number |
20K16455
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Research Institution | Teikyo University |
Principal Investigator |
前島 多絵 帝京大学, 薬学部, 助教 (00862583)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | JADER / 経胎盤投与 / アトピー性皮膚炎 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究はビッグデータ解析やin silico予測の手法を用いて乳がんの発症予防に寄与する薬物の発掘を試みた。ブロナンセリンにヒト乳がん培養細胞(MCF-7)の増殖抑制作用があることを明らかにした。令和4年度はビッグデータの1つであるJADERの解析を乳がん以外の対象疾患にも応用した。 JADERの解析は主に2つのテーマに取り組んだ。1つは医薬品の経胎盤投与による約3500症例の児の有害事象の解析である。2004年4月~2020年9月に報告されたJADERのデータを用い、投与経路に「経胎盤」を含む児の有害事象に関するレポートを対象とした。約3500症例の経胎盤投与報告において、最も多く報告された医薬品はリトドリンであり、次いでオキシトシンやバルプロ酸が多く報告されていた。妊婦の高齢化や合併症妊娠症例の増加などから妊娠中の使用薬剤や有害事象が多様化していること、経胎盤投与報告が妊娠中の医薬品使用による有害事象の評価対象として有用であることを明らかにした。 もう1つはアトピー性皮膚炎治療薬による有害事象の解析である。2004年4月から2021年4月に報告されたデータを用い、医薬品の使用理由に「アトピー」の単語を含み、かつ医薬品の関与が「被疑薬」であるものを対象とした。約1200件のレポートにおいて、症例の年代は30歳代が最多であったことや、投与経路別の件数は経口投与が58.0%で一番多いことなどが明らかになった。本研究により日本におけるアトピー性皮膚炎治療薬による有害事象自発報告の傾向が明らかになった。
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