2020 Fiscal Year Research-status Report
Th17およびTc17細胞を用いたCAR-T細胞の生存期間延長法の開発
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20K16459
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Research Institution | Research Institute for Clinical Oncology, Saitama Cancer Center |
Principal Investigator |
和田 朋子 埼玉県立がんセンター(臨床腫瘍研究所), 臨床腫瘍研究所, 研究員 (10832917)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2024-03-31
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Keywords | CAR-T細胞 / GD2 |
Outline of Annual Research Achievements |
近年、新たながん治療の選択肢としてCAR-T療法が知られている。現在日本で承認されているCAR-T療法は3つあるが全てCD19抗原を標的とした血液がんに対するものである。その他の抗原に対するCAR-T療法が承認へと進んでいない背景には腫瘍特異的な抗原が稀であること固形腫瘍では決定的な結果が得られていないことなどが挙げられる。 現在がん細胞特異的に発現しているとして注目されている抗原の一つにGD2という糖脂質がある。GD2は正常組織における発現が低いことからOn-target off Tumor Toxicityとなる可能性が低く、また神経芽腫、乳がん、悪性黒色腫、小細胞肺がんなど様々な腫瘍に発現していることが知られているため汎用性の高いCAR-T療法の抗原として期待されている。 GD2 CAR-T療法に関する報告において、効果のあった数名の患者体内ではGD2 CAR-T細胞の長期生存が見られたが効果が見られなかった大部分の患者体内からはCAR-T細胞が1ヶ月程度で消失したことが示唆されている。移入後のT細胞が体内に長期生存することは腫瘍の退縮に重要であることも知られているため、CD2 CAR-T細胞が生体内で長期生存することはCAR-T療法の発展に向けた重要な課題の一つであるといえる。これまでにCAR-T細胞が長期生存した際IL-17を産生していたという報告やCAR-T細胞のRoRγアゴニストとの併用が生存期間の延長を示したという報告が知られている。本研究はGD2 CAR-T細胞を長期生存するstrategyになり得るという観点から、IL-17産生T細胞を用いCAR-T細胞を生体内で長期生存させることを目標としている。本年度はGD2 CAR コンストラクトの改変を中心にGD2陽性神経芽腫シンジェニックマウスモデルの作成や検討を進めた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
既に作成したGD2 CAR-T constructを用いてのタンパクの発現は確認できているが、細胞表面上のCARの発現は未確認である。 GD2 CAR-T constructの作成以外では、シンジェニックマウスを用いたGD2陽性神経芽腫マウスモデルやT cell lymphomaマウスモデルの作成が完了しており予後の解析も行なった。 GD2 CAR-T constructに組み込むGD2可変領域と同様の配列を持った抗体を用いた実験では、マウス神経芽腫細胞株およびマウスT cell lymphoma細胞株に発現するGD2を検出している。
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Strategy for Future Research Activity |
作成したGD2 constructの細胞への導入によりタンパクの発現は確認できているため、次いで細胞表面上でのCARの発現の検討を続ける。GD2 CAR constuct作成後の研究が首尾よく進むよう、T細胞のIL-17産生への分化、in vivoでの腫瘍の退縮の観察、組織染色等今後必要となる手技を既存のconstrutを用いてあらかじめ確立させておく。
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Causes of Carryover |
次年度使用額(B-A)が0より大きいのは定められた直接経費の範疇で研究を行い物品請求等を行なったことが0以下ではない理由である。翌年度分の直接経費に計上しprimer購入等の経費に充てる予定である。
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