2020 Fiscal Year Research-status Report
Molecular biological study of Epstein-Barr virus-associated hemophagocytic lymphohistiocytosis
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20K16461
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Research Institution | National Center for Child Health and Development |
Principal Investigator |
坂本 謙一 国立研究開発法人国立成育医療研究センター, 小児がんセンター, 医員 (20782048)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2022-03-31
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Keywords | EBウイルス / 血球貪食性リンパ組織球症 / EBウイルス関連血球貪食性リンパ組織球症 / 網羅的ゲノム解析 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究では、HLH-2004に登録されたEBV-HLH 41例を対象として全ゲノム解析を行うことによりゲノム異常(DDX3Xを含む白血病・リンパ腫関連の遺伝子異常など)の有無を検討し、ゲノム異常と臨床情報を統合することによりEBV-HLHの新たな予後因子を解明する事を目的とする。EBV-HLHは軽症例から重症例までさまざまな重症度の症例が存在する。これまで重症度や治療反応性を決定する因子についてさまざまな検討がなされてきたが、網羅的ゲノム解析技術を用いてEBV-HLHの中心的役割を果たすクローン化したリンパ球のゲノム異常およびホスト側のゲノム異常を検討した報告は認められない。EBV-HLH発症の背景にあるゲノム異常を明らかにすることは、幅広い臨床像を示す本疾患の病態を明らかにするだけでなく、適切なリスク分類が可能となることにより適切な治療選択を可能とするため、その意義は非常に高いと思われる。また、ゲノム解析により分子標的治療薬の存在する遺伝子変異が同定された場合には、EBV-HLHの新規治療薬開発の糸口ともなり得る。さらに、EBV-HLHは日本を始めとしたアジアに多く認められる疾患であり、本研究成果は今後の国際共同研究に発展する可能性をもつものと考えている。 今年度、対象となるEBV-HLH症例の診断時および初期治療終了後の余剰検体があることを確認し、網羅的ゲノム解析の実施へむけて準備を進めている。しかしながら、コロナウイルス感染症拡大の影響で、研究協力者施設での解析準備に時間を要している。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
今年度、対象となるEBV-HLH症例の診断時および初期治療終了後の余剰検体があることを確認し、網羅的ゲノム解析の実施へむけて準備を進めている。 しかしながら、コロナウイルス感染症拡大の影響で、研究協力者施設での網羅的ゲノム解析を行う人的要員や研究実施体制に多大な影響が生じている。このため、解析実施までに時間を要している。
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Strategy for Future Research Activity |
研究協力者施設での網羅的ゲノム解析実施準備が整い次第、解析を開始する。データ解析後に、HLH2004で得た臨床情報(診断時年齢、各種検査値、診断時EBV-NDAコピー数、EBVクロナリティの有無、治療反応性、最終転帰など)とEBV感染細胞のゲノム解析情報を統合し、予後因子を探索する。解析にあたっては、年2回開かれるJCCG/JPLSG合同班会議でのLCH/HLH委員会において、研究計画と進捗状況を報告し、計画の妥当性などを客観的に評価する。これらの場は、HLHの専門家が一同に会する場であり、十分な進捗が得られない場合には、適切なアドバイスを受ける。
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