2021 Fiscal Year Annual Research Report
マルチスケールイメージングによる視覚運動統合過程の神経回路基盤解明
Project/Area Number |
20K16464
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Research Institution | Nagoya University |
Principal Investigator |
竹内 遼介 名古屋大学, 創薬科学研究科, 助教 (50825924)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2022-03-31
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Keywords | 視覚 / 運動 / 脳機能イメージング / 予測符号化 / 視覚運動統合 / バーチャルリアリティ |
Outline of Annual Research Achievements |
感覚運動予測誤差は正確な知覚・運動を実行するために重要な情報である.本研究では,視覚-運動統合過程の神経回路基盤を解明するために,背側大脳皮質全域の脳活動を同時記録できる広域カルシウムイメージング法を用いた解析を行った.マウス用にバーチャルリアリティを独自開発し,マウスが運動中の視覚フィードバックを実験者が操作することで,人工的に視覚運動予測誤差 (ミスマッチ) を呈示した.その結果,マウスの後頭葉内側領域において特異的な神経活動が観察された.また,別に訓練過程においてこの視覚運動ミスマッチを繰り返し呈示したマウスについては,この応答が減弱し,脳領域間の情報伝達にも変化があることを見出した.この研究成果について,学会における発表や企業との合同オンラインセミナー,国際雑誌論文投稿を既に行っている. 予測誤差は人の認知・運動を正しく導くために重要な情報である.例としてアルツハイマー患者などにおいて顕著な地理的障害 (自身のいる位置を失認する障害)では,自分の動きから期待される風景と実際に目の前の風景との予測誤差を使った地理的情報の更新が阻害されたことにより起きるとも考えられる.本研究で予測誤差応答を発見した領域はアルツハイマー患者において病理的所見が見られる脳部位と相同な領域であった.今後本研究において見出した脳領域をさらに詳しく解析し,介入することで動物の空間認知,及びその障害の理解を進められるだろう.
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