2022 Fiscal Year Research-status Report
アルツハイマー病における時間認知障害―関係発達論による神経心理学の展開―
Project/Area Number |
20K16476
|
Research Institution | Showa University |
Principal Investigator |
杉本 あずさ 昭和大学, 医学部, 兼任講師 (10726532)
|
Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2026-03-31
|
Keywords | 主観的時間認知 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は、主観的時間認知を測定する質問紙の作成を行うこと、またそれにより、アルツハイマー病(AD)などで認められる主観的時間認知障害の定量的理解を目指すことを目的としている。主観的時間認知に関するデータ採取は、コロナ流行の影響もあり患者数が予定より下回ったが、解析可能なデータ量の確保ができた。データとしては、AD患者を対象とした主観的時間に関するインタビュー調査を先行研究として項目を選択した質問紙を実施した。対象は、2020年12月~2021年3月に、当科外来を末梢神経障害などで受診した認知機能障害を認めない患者で、調査に同意した56名だった。 また、解析も進めており、第一段階の結果に関しては学会発表も行った。 尺度作成にあたっては、因子分析を行い、内容的妥当性、基準関連妥当性、構成概念妥当性、Cronbachのα 係数による検討を行った。因子分析の結果、「現在」「過去」「未来」3因子からなる「こころの時間尺度」を作成した。主観的な過去・現在・未来の成立には、エピソード記憶およびその脳基盤である側頭葉内側が関わっているおり、ADではそれらの障害が認められることが報告されているが、主観的時間認知の測定は困難である。今回の実施は対象者数が限られ一般化できるかに課題は残るものの、質問紙の作成により主観的な過去・現在・未来を測定する可能性を示した。 一方、2021年10月より産休育休を取得したため、実施計画に記載した主観的時間尺度の作成および関連する指標との相関の解明と、最終結果を論文作成により公表することは、研究再開後に予定している。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
コロナ流行による外来受診および研究参加行動の変化があり、具体的にはサンプル数の確保が遅延したが、データの因子分析を行い信頼性妥当性への大きな影響はないと判断している。また産休育休の取得により、研究期間の延長を行っている。
|
Strategy for Future Research Activity |
研究再開後には、計画通り、主観的時間尺度の作成および関連する指標との相関の解明と、最終結果を論文作成により公表することを予定している。研究期間以外には、当初の計画と大きな変更は予定していない。
|
Causes of Carryover |
コロナ流行によりデータ採取に遅れが生じたこと、また産休育休を取得しているため。
|