2023 Fiscal Year Annual Research Report
社会秩序形成の神経基盤:垂直罰による協力行動の促進
Project/Area Number |
20K16477
|
Research Institution | Tamagawa University |
Principal Investigator |
飯島 和樹 玉川大学, 脳科学研究所, 研究員 (60743680)
|
Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2024-03-31
|
Keywords | 創造性 / 自由意志 / 意思決定 / 実験哲学 / ELSI / BCI / 文化比較 / 道徳 |
Outline of Annual Research Achievements |
他者に対して道徳的責任に基づいて刑罰を課すためには,他者の行為が自由意志に基づくものであることが必要とされる.そこで本年度は,自由な行為を支える創造的な意思決定の神経基盤に関する脳機能イメージング研究を実施した.先行研究 (Ang et al., 2018) を拡張し,fMRI を実施しながら,多数の新奇なオプションを生成する創造性課題を開発し,行動実験(41名)および fMRI実験(24名)を実施した.行動実験の被験者に関しては、並行して解剖学的MRIデータと向社会性のデータも取得した. 行動実験の結果からは,発達に従ってオプション生成の流暢性が増大していくことが明らかとなった.また,流暢性とは独立した指標として,オプションの独自性の指標が取得できることを確認した.これらの行動指標と統合する形でMRIデータを現在解析中である. また,前年度実施した ブレイン・コンピュータ・インターフェイス(BCI) に関する実験哲学研究を発展させ,BCI の技術的進展が人々にどのような懸念をもたらすかについての調査を一般の人々を対象として実施した. 具体的には,英語圏と日本語圏の参加者の BCI 使用に対する懸念を,文化的差異と個人の道徳的特性を明らかにしながら検討した. 分析の結果,両グループに共通する懸念は,人格性と結果に関連する懸念の2つに大別された.危害と純潔の道徳基盤が、両方のタイプの懸念と関連していた.興味深いことに,日本語話者においてのみ,内集団の道徳的基盤も結果に関連する懸念と関連していた. これらの結果は,BCI への懸念に対処する際,道徳観の文化的・個人的差異を考慮する必要性を強調するものである.このような懸念を引き起こす心理的メカニズムを理解することは、公平なBCI受容のために極めて重要であると言える.
|
Research Products
(11 results)