2021 Fiscal Year Annual Research Report
Pathogenesis of neurodegenerative disease caused by kinesin mutation and its structural analysis
Project/Area Number |
20K16483
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
森田 真夏 (森川真夏) 東京大学, 大学院医学系研究科(医学部), 特任研究員 (80854885)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2022-03-31
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Keywords | キネシン / 神経変性疾患 / シャルコー・マリー・トゥース病 / 分子モーター / KIF1A |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究では、シャルコー・マリー・トゥース病CMTの患者で同定されたKIF1Aモータードメインβ7領域のE239K変異に着目した。β7領域の軸索輸送における役割とCMT発症との関係を明らかにし、最終年度にこの成果をthe EMBO Journalに発表した。 まず、この変異がKIF1Aカーゴの局在に与える影響を調べた。KIF1Aヘテロマウスで有意に減少していた軸索表面のTrkAの局在を、変異体はレスキューすることができなかった。同様に、細胞表面のTRPV1や、Rab3A, synaptotagmin、DENN/MADDなどについても、変異体では十分にレスキューすることができなかった。 次に、KIF1Aの軸索輸送のライブイメージングを行ったところ、変異体の輸送スピードが20%ほど遅いことが明らかになった。動きの方向性は、野生型も変異型も約90%が順向性で、違いはなかった。さらにin vitroでの運動活性を測定すると、やはり変異型で速度が遅く、微小管存在下でのATPase活性も変異型で低かった。一方で、微小管への親和性は、変異型と野生型は同等であった。 また、X線結晶解析では、変異体でβ7領域に過剰な正電荷が生じ、それがネック領域の負電荷と静電的に相互作用している様子が可視化された。また、定量的質量分析により、この変異はATP加水分解後期のモーターとネックの相互作用を過剰に安定化することが示された。 以上からこの変異体では、ATP加水分解サイクルに伴うネック領域の構造変化が妨げられることで、モーター活性が低下していると考えられた。 この変異は、gnomADv3.1によると10万人あたり7-8人の割合で存在し、CMT以外にも、痙性対麻痺、遺伝性感覚性自律神経ニューロパチーの患者で報告がある。β7領域は神経維持機能の面でKIF1Aのモーター活性に重要な役割を果たすことが明らかになった。
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