2020 Fiscal Year Research-status Report
S1 astrocytes are therapeutic target for chronic pain
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20K16510
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Research Institution | National Institute for Physiological Sciences |
Principal Investigator |
竹田 育子 生理学研究所, 基盤神経科学研究領域, 特別訪問研究員 (30746300)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2022-03-31
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Keywords | アストロサイト / 神経回路 / スパイン |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究では疼痛形成急性期に再編成され慢性期まで維持されている疼痛関連神経回路を、疼痛持続期に再び再編成を誘導し、痛覚閾値を正常まで戻す根治療法の確立を目的としている。方法として一時的に末梢神経から痛み刺激の過剰入力を抑制し、一次体性感覚野のアストロサイトを活性化することで、疼痛関連回路と触覚回路が切り離された新たな回路を形成し、感覚の正常回復を図った。 そこで疼痛モデルマウスにてS1アストロサイトを特異的人工リガンドのみで活性を起こすことができるGq-DREADD (Designer Receptors Exclusively Activated by Designer Drugs、人工Gタンパク共役受容体)を用いて活性化させ、末梢感覚神経過剰活動のテトロドトキシンによる一時抑制と組み合わせることで、痛み閾値が神経傷害前まで改善し、その効果は治療後2ヵ月も維持されることを確認した。しかし、これらは人への応用は困難であるため、末梢での感覚神経過剰活動を浸透圧ポンプによる持続リドカリン皮下投与に変更し、加えて経頭蓋直流電気刺激(tDCS)で大脳皮質のアストロサイトのカルシウム活動を誘導した。その結果、痛み閾値は傷害の前の状態まで回復し、その効果は持続した。 これらの作用機序は神経回路の観点から検討するため、スパインのin vivoイメージングを行った。Gq-DREADDで活性した群とtDCSで活性化を行った群では、スパインのターンオーバーが高くなり、回路編成が起こっていることが確認できた。特に、末梢神経傷害後の1週間以内の急性期に形成された疼痛関連スパインは治療中により多く除去されており、疼痛関連回路から触覚回路の分離が行われていると考えられた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
末梢での感覚神経過剰活動を浸透圧ポンプを用いて持続リドカイン皮下注することにより、一過性にアロディニアの抑制に成功している。また、tDCSでアストロサイトを活性化することで、疼痛閾値を末梢神経傷害前にまで戻すことも達成できている。 DREADDシステムとtDCSのいずれの治療においても神経回路の編成をスパインイメージングにて確認しており、予定通りに進展している。
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Strategy for Future Research Activity |
アストロサイトのCa活動を亢進させることを治療としてきたが、より詳細な分子メカニズムまで検討している。また、これまで得られた結果より、末梢神経過剰入力抑制することで入力依存的な回路編成を起こすことを目的としたが、その末梢神経の調節がシナプスレベルで活動をどのように変化させ、除去されるシナプスとなるのかを検討する。
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Research Products
(3 results)