2022 Fiscal Year Research-status Report
慢性心不全患者における緩和ケアのアンメットニーズの探索および介入方法の開発
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20K16520
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Research Institution | Kobe University |
Principal Investigator |
松沼 亮 神戸大学, 医学部附属病院, 医員 (60870508)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2024-03-31
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Keywords | 慢性心不全 / 緩和ケア / アンメットニーズ |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は、慢性心不全患者の緩和ケアニーズを明らかにし、緩和ケアスクリーニングツールの日本語版を開発し、その信頼性・妥当性を検証することを目的としています。これにより、循環器診療に携わる医療従事者が緩和ケアを開始するきっかけとなり、心不全患者の生活の質(QOL)向上に寄与することを目指しています。2021年度までに、外来慢性心不全患者における苦痛の頻度とその強さ(緩和ケアのアンメットニーズ)を調査し、呼吸困難、眠気、動きにくさを感じており、病状を知りたい、エンドオブライフディスカッションをしたいというニーズが存在することが判明しました。この調査結果は、Palliative Medicine Reports 2022, 3.1にて発表されました。また、現在AHA/ACC stage Bの緩和ケアのアンメットニーズを調査した短報を投稿中です。これにより、より幅広い病期の心不全患者に対する緩和ケアのニーズが把握されることが期待されます。現在、緩和ケアのスクリーニングツールであるNeeds Assessment Tool: Progressive Disease-Heart Failure (NAT: PD-HF)の日本語版の開発に取り組んでおり、信頼性と妥当性の検証を進めています。このツールは、効率的にアンメットニーズを調査できるものであり、日本語版の開発が成功すれば、心不全患者の緩和ケアの取り組みを促進し、QOL向上に繋がると期待されます。 今後の研究では、日本語版NAT: PD-HFの普及と実用化を推進し、その有用性を評価することを目標としています。また、緩和ケアの提供において、がん以外の疾患に対する緩和ケアの必要性と重要性を広く認識させるための啓発活動も展開していく予定です。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
4: Progress in research has been delayed.
Reason
2021年度には外来慢性心不全患者を対象とした緩和ケアニーズの調査結果をまとめ、論文化して発行しました(Palliative Medicine Reports 2022, 3.1)。その後、心不全の緩和ケアスクリーニングツールであるNAT-PD-HF(The Need Assessment Tool Progressive Disease Heart Failure)の日本語版を作成し、その信頼性と妥当性を検証するための前向き観察研究を行う予定でした。しかし、計画の進行に遅れが生じました。遅延の主な要因は以下の通りです。まず、2022年度にAHA/ACC stageBの緩和ケアのアンメットニーズについて短報を論文化し、現在投稿中ですが、このプロセスに時間がかかりました。さらに、新型コロナウイルス感染拡大に伴う循環器内科医の業務負担の増加があり、研究に専念する時間が限られるようになりました。また、十分な協力体制が築けていないことが、研究の遅れに拍車をかけています。 今後の展望として、今年度は分野長と相談しながら日本語訳を完成まで行う予定です。状況が改善されることを期待しつつ、研究を進めていく所存です。
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Strategy for Future Research Activity |
今年度はAHA/ACC stageBの緩和ケアのアンメットニーズの投稿の結果を待ちつつ、心不全の緩和ケアスクリーニングツールであるNAT-PD-HF(The Need Assessment Tool Progressive Disease Heart Failure)の日本語版の原案を校正し、翻訳および逆翻訳を行う。また新型コロナウイルスの感染拡大状況を鑑みながら、オンラインおよび対面でのディスカッションを行い、日本語版の完成を狙う。時間的制約もあるがNAT-PD-HF日本語版のパイロットテストを予定する(2023年度)。医学研究員が、分野長である山口特命教授と相談しながら研究計画、研究実施、論文化を行う。
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Causes of Carryover |
次年度にも論文化、学会発表を予定しており、必要経費が生じる。またオンライン会議、対面での会議を予定しており、それに対する経費が生じる予定である。
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