2020 Fiscal Year Research-status Report
総合診療における高IgG4血症の臨床的および血清学的特徴の解析
Project/Area Number |
20K16521
|
Research Institution | Okayama University |
Principal Investigator |
長谷川 功 岡山大学, 大学病院, 講師 (60825884)
|
Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2024-03-31
|
Keywords | IgG4関連疾患 / 高IgG4血症 |
Outline of Annual Research Achievements |
2011年に本邦でIgG4関連疾患の概念が提唱され、IgG4関連疾患包括診断基準が制定された。IgG4関連疾患は下垂体・涙腺・唾液腺・甲状腺・呼吸器・消化管・膵臓・肝胆道系・腎泌尿器・後腹膜臓器・神経系・筋骨格系・心血管系・皮膚・リンパ節などあらゆる臓器・組織に認められ、現在各臓器の専門家によりそれぞれの臓器における診断基準がつくられているところである。IgG4関連疾患の診断には病理組織所見が重要である。また、IgG4関連疾患を診断するにあたり、臨床的・血清学的な陽性所見のみでなく陰性所見が高IgG4血症を来たす疾患との鑑別において重要となる。 高IgG4血症を呈する疾患はIgG4関連疾患だけではなく、ANCA関連血管炎や多中心性キャッスルマン病といった他疾患などでも高IgG4血症を呈し、その鑑別が重要となる。近年、IgG4関連疾患の認識が広まるにつれてIgG4関連疾患類似疾患(IgG4-related disease mimicker)の病態をIgG4関連疾患と誤診するケースが増えており、未診断による安易なステロイド投与は避けるべきである。 しかしながら、IgG4関連疾患では大血管・下垂体・後腹膜繊維など生検を行うには困難な臓器・組織のみが障害されるケースも多々あり、確定診断に苦慮する事がある。そのため、本研究によって生検困難な臓器障害がある場合でも診断の補助となり得る臨床症状や血清学的特徴を明らかにする事が有用であると考えられる。また、現時点で各臓器における血清学的特徴などの報告した論文は散見されるが、多臓器にわたる総合診療の立場からの報告はなく、本研究では横断的視点から解析を行う。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
2020年は新型コロナ感染症のパンデミックが起きたことで当初予定していた国際IgG4関連シンポジウムが中止となったため当初の予定より情報収集が困難となった。 また、新型コロナ感染症の流行により他県含めた他病院からの紹介が困難となり、症例の蓄積が当初の予定より停滞傾向にある。 一方で、本研究について2020年8月7日には日本病院総合診療医学会学会賞を受賞した。
|
Strategy for Future Research Activity |
予定より症例蓄積は停滞傾向にはあるが、引き続き症例蓄積を行い、学会や論文などにより確診群・疑診群・その他の群におけるそれぞれのパラメータの統計を集積し、今後それぞれの群における有意差を明らかにする事で高IgG4血症を来たす疾患の鑑別に有用となり得る臨床的特徴及び血清学的特徴を明らかにしIgG4関連疾患の新たな診断補助項目を明らかに出来るよう本研究を進めていく。
|
Causes of Carryover |
既存の設備により研究を進めたが、新型コロナウイルス感染症の影響により、軒並み学会が中止したりweb開催となったことにより、それらに係る諸経費がなくなったため次年度使用額が生じた。 なお、次年度使用額については、IgG4関連疾患の血清学的特徴の分析を行うために必要な物品費等に充当する。
|