2022 Fiscal Year Research-status Report
腸肝軸に着目したNASHの新たな診断方法と創薬についての基礎的研究
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20K16522
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Research Institution | Kagawa University |
Principal Investigator |
谷 丈二 香川大学, 医学部, 助教 (00596075)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2024-03-31
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Keywords | NASH / 腸管軸 |
Outline of Annual Research Achievements |
NASHを含めた生活習慣病では腸内環境の変化が疾患に大きな影響を及ぼすと考えられている。NASH においては腸内細菌叢が増大し、さらに腸管壁透過性亢進も加わることで、多量の腸内細菌産物が門脈に流入し、肝臓に達する。それらによりマクロファージが刺激を受け、炎症性サイトカインやケモカインを産生し続ける。これらの制御はNASH 治療における新たな可能性と考える。腸管透過性測定はラクツロース・マンニトールテストがゴールドスタンダードであるため本試験を用いて評価し、尿中のラクツロース・マンニトール比が有意に亢進した症例は腸管透過性が高い症例である。今回コロナ禍にて、ヒトに対する研究が進んでいないのが現状であるため、NASHモデルのマウスの実験を開始した。腸管透過性亢進によるNASH群において、NASHを改善させる効果が期待できるかどうかについても検討する。そのためにはC57BL/6J マウスにマウスに腸粘膜バリアを破綻させる負荷をかけ、軽度、中等度、重度の 腸管透過性亢進を引き起し、MCDHFDを投与して腸管透過性亢進NASHモデルマウスを作成した上で、発現が増強したmicroRNAの機能を阻害するという手法、もしくは発現が減弱したmicroRNAを補充するという手法により、投与前後における血清学的及び組織学的にみられる変化について検討を行うこととし、NASHモデルマウスを作成し現在、血清/組織学的に変化するmicroRNAを同定し、現在予備実験を計画している。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
コロナ禍であったため、ヒトでの臨床研究が遅れているが、マウスによる実験を先にすることにより、その遅れを埋めている。マウス臓器の測定を実施でき、また、予備実験ではあるが、分析も実施することが出来た。
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Strategy for Future Research Activity |
管透過性測定はラクツロース・マンニトールテストがゴールドスタンダードであるため本試験を用いて評価し、尿中のラクツロース・マンニトール比が有意に亢進した症例は腸管透過性が高い症例である。 NASH患者の末梢血液に含まれるエクソソーム中の2555分子のmicroRNAについて網羅的に解析し、クラスター解析を行うことによって、腸管透過性亢進の有無においてエクソソーム中のmicroRNA発現プロファイルに差異があるかどうかを見出す。得られた差異と臨床学的特徴や病態との相互関係を検討することにより、診断や治療における標的分子、また、創薬についての鍵となるエクソソーム中のmicroRNAを同定する。今までの我々のmicroRNAでの先行研究成果をもとに、研究を次の4段階で進めていく 1.採血で採取した血清microRNAの保存、抽出既に当院倫理委員会による承認済研究における同意文書が得られた腸管透過性亢進のNASH患者に対して施行した採血で得られた血清を冷凍保存する。保存した血清より total RNAを抽出し、microRNAを精製する。 2. 2555分子が搭載されたmicroarrayを用いて精製されたmicroRNAの網羅的解析当教室に既に2555分子のmicroRNAを搭載されたoligo chip arrayを解析するシステムが完成している。1.で精製されたmicroRNAをこのシステムを利用し、網羅的解析を行う。
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Causes of Carryover |
コロナの影響で、臨床における研究が思ったように進まず、できていない研究があるため
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