2022 Fiscal Year Research-status Report
肺MAC症の慢性肉芽形成時のマクロファージ機能変化解明ーmicroRNAの役割
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20K16527
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Research Institution | Kagoshima University |
Principal Investigator |
郡山 豊泰 鹿児島大学, 医歯学域鹿児島大学病院, 臨床検査技師 (60723616)
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Project Period (FY) |
2020-02-01 – 2024-03-31
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Keywords | NTM / RICTOR / microRNA |
Outline of Annual Research Achievements |
難治性慢性呼吸器疾患である肺 MAC (M. avium complex) 症は、世界中で患者数の増加傾向にある。やせ型中高年女性の非喫煙者が多いこの疾患は、広範な肉芽腫形成による気管支内腔の破壊やその周りの線維化が特徴な病理所見である。肺 MAC 症の発症要因は未だ不明な点が多く、確定診断と治療介入の基準があいまいな感染症である。本年度は、当院検査部で分離されたM.avium complex株を用いてMATR-VNTR解析を行った。M.avium complexの同定試験は、固形培地(2%小川培地:極東製薬社)や液体培地(MGIT:日本B.D.社)で分離された菌株をPCR法(cobas MAI:Roche社)を用いて同定した。菌株のDNA抽出は、QIAamp DNA mini kit(QIAGEN社)で行い、得られたDNAをもとに多型解析を行った。多型解析は、15ヶ所のMATR-VNTR領域を対象としPCR増幅反応を行った (T. Inagaki et al. J Clin Microbiol. 2009)。PCR産物は、2 % アガロースゲル電気泳動により分離した。分離された菌株は、材料腫により同一クローンを示しており、臨床現場において感染ルートの同定に非常に有用であることが再確認できた。今後もMATR-VNTR解析を検査部で迅速に行っていける体制作りにも貢献できると考えている。 本年度は、MAC感染症にmicroRNAが関与しているか、単球マクロファージ系の細胞を用いた実験を開始している。炎症に関わる細菌感染症におけるmicroRNAとしていくつかのmicroRNAがmTOR関連分子を制御する結果を以前報告しているので、これらmicroRNAのMAC感染症への関与も視野に入れて研究を進行中である。また、本年度は計画していたマイクロアレイによる標的microRNAの探索が出来なかったが、次年度早々に行い、炎症シグナル、増殖シグナルに及ぼす影響を検討する。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
新型コロナ検査対応等による業務の多忙のため予定通り進行していない。特にmicroRNAの研究計画が全体的に遅れ気味であるので、今後は、マイクロアレイを行い標的microRNAの探索を行う予定である。
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Strategy for Future Research Activity |
次年度は、MAC感染症における病態メカニズムを基礎研究により明らかにする計画を立てている。以下の2点にフォーカスをあてて研究を進める。1.microRNAのマイクロアレイを実施する。M.avium complex感染細胞の抽出RNA を使用してプロファイリングを行い、M.avium complex感染に特徴的なmicroRNAを同定する予定である。2.mTORシグナルが細菌感染症において炎症反応を制御していることを見出しているので、M.avium complexによる感染が、mTOR関連分子のシグナルをどのように変化させるかを検討する。 以上の2点と、前年度までの臨床検討を合わせて、今後のMAC感染症の診断治療に貢献できるものと考える。
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Causes of Carryover |
検査部勤務しており、新型コロナウイルス同定のPCR検査を中心とした検査業務が多忙であったために、基礎研究に充てる時間が十分に得られなかったため、計画に遅延を生じた。この遅延により、予定していたmicroRNAのマイクロアレイを施行することができなかったので、次年度はマイクロアレイを直ちに行い、解析同定を経て一定の結果を得られるように尽力する。また、培養細胞を用いた基礎研究もやや遅れており、本年度の遅れを取り戻す実験に早急に取り掛かる予定である。
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