2020 Fiscal Year Research-status Report
The applicability of plasma levels of myosin heavy chain-11 for the assessment of atherosclerotic vascular damage
Project/Area Number |
20K16533
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Research Institution | Tokyo Medical University |
Principal Investigator |
高橋 梨紗 東京医科大学, 医学部, 臨床助教 (50867413)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2022-03-31
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Keywords | 動脈硬化 / 血管平滑筋 / バイオマーカー / ミオシン |
Outline of Annual Research Achievements |
日本人の死亡原因として動脈硬化性疾患は非常に多い。生活習慣の欧米化に伴って動脈硬化性疾患は増加傾向であるが、脳梗塞や急性心筋梗塞など重篤な状態になるまで症状に乏しいことも多い。動脈硬化性疾患の発症は突然であり、一度発症してしまうと患者自身のQOLは著しく低下し、治療には多額の医療費が必要になる。よって動脈硬化が進展する前にその程度を把握し、進展を予防することが出来れば、患者の健康寿命を延ばす助けになり、日本の医療費の削減にも貢献できると考えた。 動脈硬化は全身の血管平滑筋に対する炎症と表現することも出来る。過去の報告によると、動脈硬化疾患の一つである大動脈瘤の患者を治療前に採血したところ、血中の血管平滑筋由来のミオシン重鎖11が高値であった。つまり、ミオシン重鎖11というバイオマーカーは血管平滑筋の損傷を表していることが予想される。よって血中のミオシン重鎖11を測定すれば、動脈硬化の程度を予想できる可能性があると考えた。 本研究では、高血圧症群(脳心血管障害をまだ起こしていない)・虚血性心疾患群・睡眠時無呼吸症候群の患者を対象とした。患者の同意を取った後に、既存の動脈硬化の検査としてゴールドスタンダードである頚動脈エコー・ABI/PWVなどの検査と血中のミオシン重鎖11の測定を行っている。頚動脈エコーなどの画像検査は施行するのに時間がかかり、検者間の正確性にばらつきが出る可能性があるが、採血によって測定が可能なミオシン重鎖11はばらつきがないことがメリットの一つである。エントリー目標数に達した後、頚動脈エコー・ABI/PWVの結果とミオシン重鎖11が相関しているのかを確認し、ミオシン重鎖11が早期の動脈硬化性疾患の有無の判定に可能なバイオマーカーとなりえるか検証する。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
COVID-19蔓延によりCOVID-19患者以外の入院を制限したこと、また外来も電話診察が導入されたことで、研究同意書にサイン得るのが以前より難しくなった時期があった。しかし、感染対策に気を付けながら、外来も再開しており、研究を進めることが出来ている。
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Strategy for Future Research Activity |
早期の動脈硬化を見つける可能性のあるバイオマーカーの研究であり、患者には非常に興味を持ってもらっている。依然COVID-19が蔓延しており、気が抜けない状態ではあるが、感染に気を付けつつ、目標数に達するまでエントリーを行う。各群の喫煙歴などの生活歴や既往歴や内服状態を把握し、疾患ごとにミオシン重鎖11の値に差異があるのか、ABI/PWVや頚動脈エコー所見と相関するかなどを調べる。年齢や性別を一致させた既往歴のない正常群と比較することで、今後動脈硬化を早期に感知できるバイオマーカーになりえるかを検証する。
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Causes of Carryover |
COVID-19により学会が延期または中止になったため。
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