2023 Fiscal Year Annual Research Report
プロテインC制御系の制御・調節を標的とした新しい癌の診断法および治療法の開発
Project/Area Number |
20K16535
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Research Institution | Suzuka University of Medical Science |
Principal Investigator |
秋田 展幸 鈴鹿医療科学大学, 医用工学部, 准教授 (70597327)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2024-03-31
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Keywords | プロテインC / トロンボモジュリン |
Outline of Annual Research Achievements |
プロテインC凝固制御系は、血管内皮細胞上のトロンボモジュリンやプロテインC受容体存在下にプロテインCが活性化されることにより生成した活性化プロテインCが、プロテインSの存在下で、血液凝固補酵素タンパク質である第Va因子や第VIIIa因子を分解することにより過剰な血栓を制御する系であり、同時に、活性化プロテインCはその受容体を介して血管内皮細胞保護作用や抗炎症作用を示すことが明らかになっている。これまでの先行研究では、一部の癌細胞でプロテインC受容体が発現し、プロテインC受容体高発現細胞では細胞増殖能が亢進していることが明らかになっていることから、活性化プロテインCがプロテインC受容体を介して、がん細胞の増殖を促進していることが予測されるが、証明されるには至っていない。本研究では、癌組織内でプロテインC凝固制御系の存在を明らかにする目的で、まず、癌組織におけるプロテインC凝固制御系に関わる因子であるトロンボモジュリンの存在を明らかにするため、Dunn細胞をマウス背部皮下に移植して担癌モデルを作成し、癌組織におけるトロンボモジュリンの発現について抗マウストロンボモジュリン抗体を用いた免疫組織染色法により検討を行った結果、その発現は認められなかった。続いて、培養マウス血管内皮細胞におけるトロンボモジュリン発現について、同様に免疫染色法を用いて検討を行ったが、発現は認められなかった。そこで、培養マウス血管内皮細胞におけるトロンボモジュリンの発現について、トロンビン依存性のプロテインC活性化能を指標として検討した結果、プロテインCの活性化は認められたことから、担癌組織でトロンボモジュリンを検出できなかった原因として、使用した抗トロンボモジュリン抗体の特異性が低かった可能性が考えられた。
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