2020 Fiscal Year Research-status Report
多発性骨髄腫細胞におけるRNAメチル化を介したmicro RNA発現異常の解明
Project/Area Number |
20K16541
|
Research Institution | Gunma University |
Principal Investigator |
笠松 哲光 群馬大学, 大学院保健学研究科, 助教 (60737542)
|
Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2023-03-31
|
Keywords | micro RNA / メチル化 |
Outline of Annual Research Achievements |
当該年度は、多発性骨髄腫細胞株におけるmiR-29aおよびmiR-34aのN6-Methyladenosine (m6A)メチル化状態をRNA免疫沈降法を用いて検討した。 miR-29aの発現量とm6aメチル化量を比較したところ、両発現量の間に有意な相関関係は認められなかった。miR-34aについては検討したすべての細胞株でm6aメチル化を認めなかった。miR-34aの配列を再確認したところ、m6A修飾共通配列と考えられる3塩基から4塩基の配列パターンが認められず、m6aメチル化による制御を受けないものと推測される。 引き続いて、miR-29aおよびmiR-34aの初期転写物であるprimary miRNA(pri-miR)についても同様に検討を行った。多発性骨髄腫細胞株におけるpri-miR-29aおよびpri-miR-34aの発現量とmatureなmiR-29aおよびmiR-34aの発現量を比較したところ、pri-miRが高発現にもかかわらずmature miRが低発現のままであり、乖離があるのことが確認された。しかし、pri-miRが高いものほど各pri-miRのm6a修飾量も高く、matureなmiR-29a・miR-34aとpri-miR-29a・pri-miR-34aの発現量の乖離にm6a修飾量は関係していないと予測される。 また、興味深いことに使用した細胞株内1株でいずれのRNAにおいてもm6A修飾を認めないものが存在した。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
計画通り進んでいるが、当初の仮説とは異なる結果がえられたため、続いての実験計画について変更を検討している。
|
Strategy for Future Research Activity |
当初予定していたmiR-29aおよびmiR-34aの発現制御にm6A修飾量の関与が認められないため、新たな候補micro-RNAを同定する。所持している多発性骨髄腫細胞株での代表的なm6aメチル化酵素METTL3 mRNAの発現量を測定し、METTL3 mRNA高発現の株において抗m6A抗体を用いたRNA免疫沈降法にてm6a修飾micro RNAを分離し、マイクロアレイ法による網羅的なmicro RNA発現量解析を行う計画である。RNA免疫沈降前のmicro RNAと比較し、高発現となるmicro RNAに対し当該micro RNAとm6Aメチル化修飾が多発性骨髄腫細胞株に与える影響を解析する。
|
Causes of Carryover |
当該年度はCOVID-19の流行により旅費が発生しなかったため、物品費にすべて使用した。使用する試薬は高額なものが多いため、少額の繰り越しが発生した。翌年度分とあわせ物品費として使用を計画している。
|