2021 Fiscal Year Research-status Report
病態に基づく選択的SNPを標的としたインスリン抵抗性疾患個別化予防法の確立
Project/Area Number |
20K16551
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Research Institution | Ehime University |
Principal Investigator |
高門 美沙季 愛媛大学, 医学部附属病院, 助教 (30838032)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | インスリン抵抗性関連遺伝子 / インスリン分泌関連遺伝子 / 動脈硬化 / 機械学習 |
Outline of Annual Research Achievements |
インスリン抵抗性は2型糖尿病の発症に先行する。加えてインスリン分泌が低下し代償がきかなくなると、血糖値が上昇する。また、動脈硬化性疾患は、インスリン抵抗性が主体の時期から増加する。すなわち、糖尿病と動脈硬化の早期予防には、血糖ではなくインスリンを標的とする必要がある。本研究では、一般住民2400名を対象とした。数少ないインスリン抵抗性遺伝子レジスチンSNPと、インスリン分泌関連SNPのうち、糖尿病発症に関連する表現型に影響を与えるSNPを、機械学習を用いて同定した。75g経口ブドウ糖負荷試験によりインスリン抵抗性と分泌を評価し、表現型を細分類した。5年後、10年後の前向き研究において、遺伝因子・表現型のどのサブタイプが糖尿病発症や頸動脈エコーで評価した動脈硬化進展と関連するかを環境因子との相互作用も含めて解析した。インスリン抵抗性・分泌の遺伝因子と表現型を統合した新たな糖代謝異常分類を確立し、糖尿病・動脈硬化性疾患を早期に予知することを目的とし、以下を検討した。 1.一般住民において、インスリン抵抗性関連遺伝子と、インスリン分泌関連SNPを用いて遺伝素因を定量化し、インスリン抵抗性・分泌の表現型を細分類した。各表現型に影響を与えるSNPを、機械学習を用いて同定した。 2.遺伝因子・表現型の各サブタイプによる、5年後、10年後のインスリン抵抗性・分泌の悪化、糖尿病発症の違いを解析した。 3.5年後、10年後の頸動脈エコーのデータ用いて、動脈硬化進展の差を解析した。 一般住民のDNAおよび血清サンプルと臨床データは既に収集し、レジスチンSNPタイピングおよび血中濃度の測定、その他インスリン感受性遺伝子のSNPタイピングは概ね終了した。本集団は、2019年度から75gブドウ糖負荷試験を含む10年後の健診を行っており、2022年度に全例の健診が終了する予定である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
一般住民において、インスリン抵抗性関連遺伝子と、インスリン分泌関連SNPを用いて、糖尿病発症に関連する表現型に影響を与えるSNPを、機械学習を用いて同定した。インスリン分泌低下、インスリン抵抗性、インスリン分泌遅延の要素を考慮し、インスリン抵抗性関連遺伝子レジスチンSNP・インスリン分泌低下関連遺伝子SNPとこれらの表現型を統合し、臨床パラメーターとの関係を解析した(横断研究)。また、環境因子との相互作用を合わせて検討した。上記の集団のうち、75gブドウ糖負荷試験で正常型と判定された約1600名を対象とし、前向き研究を行った。初回健診から5年後にあたる再健診(75gブドウ糖負荷試験を含む)が2017年度に終了した。しかし、5年間では、糖尿病の発症が少なく、統計学的にパワーが足りない可能性があり、10年後のデータを用いて解析を進めている。 本集団は、2019年度から75gブドウ糖負荷試験を含む10年後の健診を行っており、2022年度に全例の健診が終了する予定である。しかし、新型コロナウイルスの感染拡大の影響により、一般住民の大規模な健診が困難であり、新たなデータの収集が困難であった。一般住民のDNAおよび血清サンプルと臨床データは既に収集し、レジスチンSNPタイピングおよび血中濃度の測定、その他インスリン感受性遺伝子のSNPタイピングは概ね終了した。今年度は既存データの解析および既存のサンプルの測定を行い、新たなデータを収集するための準備を進めた。
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Strategy for Future Research Activity |
2021年度は、地域一般住民約500名に対し、健康診断を通してデータを収集し、研究成果をとりまとめる予定であった。しかし、新型コロナウイルス感染拡大の影響により、健診が中止となり、健診にかかる必要経費が不要となった。そのため、2021年度は機械学習を用いたデータの解析や次年度の検体測定の準備が中心となり、次年度使用額が生じた。2022年度は、地域一般住民約500名に対し、健康診断を通してデータを収集し、研究成果をとりまとめる予定であり、新たに必要な項目を測定し、データベースをさらに充実させて上で細分類を試みる。
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Causes of Carryover |
2021年度は、地域一般住民約500名に対し、健康診断を通してデータを収集し、研究成果をとりまとめる予定であった。しかし、新型コロナウイルス感染拡大の影響により、健診が中止となり、健診にかかる必要経費が不要となった。そのため、2021年度はデータの解析や次年度の検体測定の準備が中心となり、次年度使用額が生じた。2022年度は、地域一般住民約500名に対し、健康診断を通してデータを収集し、研究成果をとりまとめる予定であり、新たに必要な項目を測定し、データベースをさらに充実させて上で細分類を試みる。
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Research Products
(2 results)