2020 Fiscal Year Research-status Report
遺伝子標的型殺菌キメラファージを用いた遺伝子変異の簡易検出法の開発
Project/Area Number |
20K16557
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Research Institution | Jichi Medical University |
Principal Investigator |
相羽 由詞 自治医科大学, 医学部, 助教 (60783694)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2022-03-31
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Keywords | 簡易検査法 / 薬剤耐性菌 / CRISPR-Cas13a / バクテリオファージ |
Outline of Annual Research Achievements |
抗菌薬が効かない薬剤耐性菌の出現と蔓延は世界規模での医療問題である。臨床現場では、耐性菌を早期に簡便かつ安価に検出する技術が求められている。現在、我々の研究チームはCRISPR-Cas13aシステムを搭載したバクテリオファージを用いて、薬剤耐性菌の原因遺伝子を鑑別することができる検査法を開発するプロジェクトを立ち上げている。これまでに、耐性遺伝子の有無は検出できたが、1塩基の変異を高感度に検出することは困難であった。 本研究は、RNA標的型CRISPR-Cas13システムを搭載したバクテリオファージを用いて、核酸の増幅を行わずに細菌の遺伝子変異を簡易検出することができる検査法の確立を目標としている。本年度は、カルバペネマーゼ産生腸内細菌科細菌が持つIMP-1(A640)とIMP-6(A640G)をモデル遺伝子に用いて、1塩基の違いを高感度に検出することができるガイドRNAの探索と特定を行なった。様々なガイドRNAを設計し、1塩基の違いをの検出できるか評価したところ、最も感度の高かったガイドRNA配列は10^-6以上の有意な変異識別による細菌の増殖抑制が認められた。その一方で、ほとんど殺菌効果を示さない配列も存在した。そのため、ガイドRNAを慎重に工夫して設計することで、わずか1塩基の違いを明確に鑑別し、検出することができることを明らかにした。この技術は、RNA標的型CRISPR-Cas13システムを搭載したバクテリオファージと対象とする細菌の混合培養を行い、その生死を目視観察することで判別できる、核酸増幅を必要としない検査法である。今後、臨床現場で鑑別が困難な耐性遺伝子の検出だけではなく、毒素遺伝子検出や感染症対策の分子疫学ツールとしての幅広い応用が期待される。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
今年度は、搭載するCRISPR-Cas13の塩基配列の設計を慎重に工夫することで、遺伝子変異に由来する耐性菌を検出することに成功した。モデル遺伝子であるカルバペネマーゼ産生腸内細菌科細菌が持つIMP-1(A640)とIMP-6(A640G)の1塩基の違いを検出するためのガイドRNA配列の探索と特定を行なった。ガイドRNA配列は塩基配列が異なる56種類を設計した。評価方法は、大腸菌に標的遺伝子を導入した評価系を構築した。設計したガイドRNAを標的遺伝子を持つ大腸菌と標的遺伝子を持たない大腸菌に導入し、CRISPR-Cas13システムによる殺菌の有無を測定することで評価した。評価系は、高感度に殺菌効果を観察できる培養条件も詳細に検討した。また、殺菌効果を強化するために、ガイドRNAの塩基長を12ー32bpまで設計し、28bpが最も殺菌能に優れていることを明らかにした。
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Strategy for Future Research Activity |
当初の研究計画の通り研究を進める。本年度に特定した高感度に殺菌効果を示したガイドRNAとRNA標的型CRISPR-Cas13システムを搭載したバクテリオファージの作製に取り組んでいる。遺伝子間の1塩基の相違を識別できる抗菌カプシドを作製は、殺菌効果に優れたCas13a とパッケージング機能を結合させ、ファージミドを持つ菌の構築を行う。さらに、ファージの合成に必要なヘルパーファージを感染させることで、特異的配列を識別するCRISPR-Cas13a 搭載した殺菌キメラファージを作製する。1塩基の違いを認識する評価は、標的遺伝子を持つ細菌と殺菌キメラファージを用いて、混合培養を行うことで、培養後の細菌の生死を観察して鑑別する評価系を構築し、核酸の増幅を行わずに細菌の遺伝子変異を簡易検出することができる検査法を確立する。
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[Journal Article] Development of CRISPR-Cas13a-based antimicrobials capable of sequence-specific killing of target bacteria.2020
Author(s)
Kotaro Kiga, Xin-Ee Tan, Rodrigo Ibarra-Chavez, Shinya Watanabe, Yoshifumi Aiba, Yusuke Sato'o, Feng-Yu Li, Teppei Sasahara, Bintao Cui, Moriyuki Kawauchi, Tanit Boonsiri, Kanate Thitiananpakorn, Yusuke Taki, Aa Haeruman Azam, Masato Suzuki, Jose R Penadess, Longzhu Cui
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Journal Title
Nature Communications
Volume: 11
Pages: 2934 - 2944
DOI
Peer Reviewed
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