2020 Fiscal Year Research-status Report
血液形態学検査と遺伝子検査のマッチングによる骨髄異形成症候群の診断精度の向上
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20K16565
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Research Institution | Kawasaki University of Medical Welfare |
Principal Investigator |
榊原 佳奈枝 川崎医療福祉大学, 医療技術学部, 講師 (10791410)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | 骨髄異形成症候群 / SF3B1変異 / 鉄染色 |
Outline of Annual Research Achievements |
SF3B1変異は骨髄異形成症候群(MDS)で高頻度にみられる遺伝子変異である。なかでも環状鉄芽球の増加を伴うMDS(MDS-RS)に特徴的であるため、遺伝子検査が非日常検査であるわが国では、もっぱら鉄染色による環状鉄芽球判定によってMDS-RSの診断を行っている。しかしMDS症例全体におけるSF3B1変異頻度は海外報告と同様であるにも関わらず、MDS-RSと診断される症例がわが国では極めて少ない。 本研究の目的はMDSにおいてSF3B1変異と環状鉄芽球の増加がそれぞれどれくらいの割合で認められるのかを調べ、遺伝子型と表現型の一致率が最適となるカットオフ値を見出すことである。これによりMDS-RSにおける診断精度の向上が期待できるとともに、遺伝子変異解析が実施できず確定診断を望めない場合でも、高いエビデンスを持って細胞形態学的観点から病型診断に貢献できるものと考えられる。 本研究の大半を占める症例は後方視的調査によって集積される。したがって研究遂行のためには残余塗抹標本検体での遺伝子解析が必要不可欠となる。今年度はそのためのDNAクオリティチェックとPCRおよび測定機器の条件設定を実施した。 当初の予定と一部変更しなければならない点はあるものの、概ね問題なく遺伝子解析は実施可能である。また環状鉄芽球の判定はWHO分類改訂第4版に則り主観的要素を極力少なくするため、血液検査専門医および骨髄検査技師ら複数の専門家と鏡検時目合わせを行いながら進めている。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
対象症例の集積に必要な研究倫理審査の承認に時間を要したため、患者検体を用いた実験開始が予定より少し遅れている。
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Strategy for Future Research Activity |
これまでの予備実験で本研究に必要な測定条件の設定は終了している。今後、対象症例の抽出および遺伝子解析を順次進めていく。明らかになった知見については、学会および学術雑誌にて公表する。
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Causes of Carryover |
次年度使用額が生じたのは、前方視的調査のために使用予定であった遺伝子解析装置i-densy IS-5320測定試薬が不要になり、すべてDNAシークエンサーABI PRISM 3130xlを用いることに変更したためである。今後は後方視的調査を進めていくため、DNA抽出・精製キットおよびPCR反応に必要な試薬、各種ディスポーザブル物品などの消耗品費が必要となる。
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