2021 Fiscal Year Research-status Report
レボドパ誘発ジスキネジアの発症機序の解明と新規薬物治療の開発
Project/Area Number |
20K16570
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Research Institution | Hirosaki University |
Principal Investigator |
西嶌 春生 弘前大学, 医学部附属病院, 講師 (90858177)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | パーキンソン病 / レボドパ誘発ジスキネジア / アマンタジン |
Outline of Annual Research Achievements |
【背景】パーキンソン病に対して最も有効な治療薬はレボドパだが、病気の進行とともに有効性は減弱しウェアリング・オフやレボドパ誘発ジスキネジアが出現する。アマンタジンはレボドパ誘発ジスキネジアに対して臨床応用されている唯一の薬剤でオフ時間短縮効果もあるが、長期反復投与後の効果持続性については諸報告あり定かでない。 【目的】パーキンソン病モデルラットのレボドパ誘発性の異常運動に対するアマンタジン反復投与の効果を検討する。 【方法】脳手術によりパーキンソン病モデルラットを作成した。レボドパ単独療法群、レボドパ・アマンタジン併用療法群に分け、15日間の薬物投与を行った。それぞれの群をさらにレボドパ単独療法群、レボドパ・アマンタジン併用療法群に分けて16日間の追加薬物投与を行った。この4群で行動評価を行った。回転運動がレボドパの抗パーキンソン病効果の、上肢・体幹・口部の不随意運動がジスキネジアの反映と考えられた。薬物最終投与後に脳を摘出し免疫染色を行った。 【結果】初回薬物投与時はアマンタジン併用群でジスキネジアは抑制された。反復投与後にジスキネジア抑制効果は消失した。Day16にアマンタジン併用を開始した群も開始時にはジスキネジア抑制効果がありその後失われた。回転運動について初回薬物投与時にはアマンタジンによる効果はなかったが反復投与後にアマンタジン併用群で回転運動持続時間が延長、すなわちオフ時間短縮効果が現れた。ドレブリンに対する免疫染色でレボドパ単独療法群の病変側線条体で陽性構造物(樹状突起上スパインを反映)が肥大していた。アマンタジン併用群でも肥大は抑制されなかった。 【結論】アマンタジンの抗ジスキネジア効果は持続しないので患者への投与時は漫然と使うべきではない。一方アマンタジンのオフ時間短縮効果は反復投与後に現れるので、すぐに効果がでなくても一定期間使い続けて効果判定するべきである。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
前年度の研究では、パーキンソン病モデルラットを作成し、アマンタジンとペランパネルのレボドパ誘発ジスキネジア抑制効果を2週間の治療期間で検討した。今年度においては治療期間を2倍以上に延長してアマンタジンの効果を検証した。レボドパ誘発ジスキネジアに対する効果のみならず、ウェアリング・オフに対する効果も反復投与に伴って変動することを確認できた。
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Strategy for Future Research Activity |
これまでに得られた研究成果をもとに論文を執筆し、投稿する予定である。必要に応じて追加実験も行う。
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Causes of Carryover |
本年度に必要な物品購入費・その他の経費はおおむね当初の予定通りに使用したが、わずかに残額が生じた。残額は翌年度の必要物品の購入費や論文投稿費用の一部とする予定である。
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